台湾の新北大衆捷運(新北メトロ)は、双城駅(新北市新店区)〜十四張駅(同)間の7.5kmの区間で新たに整備された軽量軌道交通(LRT)の新路線「安坑軽軌(安坑ライトレール)」を2023年2月10日(金)に開通しました。
台北中心部まで15〜20分短縮
新店区は台北盆地の南端に位置しており、台北都市圏のベットタウンの一つとなっています。南北に流れる新店溪の東側は平地となっており、台北メトロ松山新店線により都心と直結していることから都市化が先行しています。
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一方、川の西側に広がる丘陵地の麓に位置する安坑地区は、宅地開発の進行に比べて公共交通機関の整備が遅れ、台北市街地への移動手段は路線バスのみという状況が続いていました。新北市は、交通不便地域を解消する目的でLRTの実現可能性調査を行い、2012年に台湾行政院が承認したことを受け、総工費166億元(約717億円)をかけて建設を進めてきました。
2022年に入ってから試運転や性能試験を約1年間続け、行政院が定める監査に合格したことから2023年2月10日(金)の正式開通が決まりました。最初の1か月間は無料試乗体験ができるプレ運行が実施され、3月13日(月)からは通常の営業運転が始まっています。
安坑ライトレールには9駅が設置され、うち5つは高架駅、4つは地平駅です。車両基地は双城駅の南側にあり、十四張駅では新北メトロの中量輸送機関である環状線と接続します。台北中心部へ向かうには、環状線の大坪林駅や景安駅などで接続する台北メトロ線に乗り換える必要がありますが、従来より15〜20分程度の時間短縮が実現しています(安坑ライトレールの概要と路線図、周辺地図など詳細は下の図表を参照)。
台北から自然豊かな安坑へ日帰り散策
営業時間は6:00〜0:00で、全線の所要時間は約20分です。日中時間帯は約15分間隔で、朝夕の通勤時間帯には、途中の主要駅である安康駅と十四張駅間との間に折り返し列車も設定されます。
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運賃は1乗車につき20〜25元で、乗り降り自由の一日乗車券は50元で購入できます。台湾で広く普及している「悠遊卡(EasyCard)」「一卡通(iPASS)」「愛金卡(icash)」の各電子マネーのほか、クレジットカードのタッチ決済、QRコード決済サービスにも対応しています。
車両は全面的に低床化された5両編成で、大きく開放的な窓が特徴的です。編成中2か所に車椅子や自転車利用者のためのスペースが設けられています。2018年に開業した淡海ライトレールと基本的に同一仕様ですが、“栄光のゴールド”と称されるオリジナル塗装が施されているほか、メンテナンス性を高めるため、台湾生産の機器の割合が増やされています。
緑豊かな安坑ライトレールの沿線には初級者でも楽しめるハイキングコースが整備されているほか、景観の良さを活かした飲食店やコーヒー店も点在しており、台北市街からの日帰り散策も楽しめそうです。市民に親しまれることを目指して各駅に展示されている、この地域の動植物や自然環境をテーマとしたパブリックアートも見ものです。