JR東海は、特急「ひだ」「南紀」として活躍してきた「キハ85系」気動車の運転が2023年6月末をもって終了することに伴い、最後の旅を楽しんでもらえるよう、特別編成の臨時特急列車を運転します。
7月からハイブリッド車両「HC85系」に
1989年(平成元年)にデビューしたキハ85系は、JR東海の発足後、最初に開発した特急車両です。米カミンズ社から輸入した大出力エンジンを採用し、名古屋から高山方面に向かう特急「ひだ」の大幅なスピードアップを実現しました。名古屋と紀伊半島を結ぶ特急「南紀」にも進出し、同社の非電化区間の輸送品質を大きく改善させた功績を持っています。
その後の技術革新により、ディーゼルエンジンと蓄電池を組み合わせたハイブリッド方式を採用した新型車両「HC85系」が開発されました。2022年7月1日から特急「ひだ」への導入が始まり、2023年3月18日(土)のダイヤ改正ですべての「ひだ」定期列車がHC85系での運用に統一されています。
現在、キハ85系の最後の活躍の場となっている「南紀」ですが、こちらも2023年7月1日(土)からすべての列車がHC85系に置き換わることが決まっており、完全引退がいよいよ近づいています(特急「ありがとうキハ85系南紀」「さよならキハ85系」の運転時刻・編成など詳細は下の図表を参照)。
JR東海社員と思い出を振り返る企画も
JR東海は、キハ85系に30年以上親しんでもらえた感謝企画として、南紀方面に特急「ありがとうキハ85系南紀」号、飛騨路方面に特急「さよならキハ85系」号を運転します。
「ありがとうキハ85系南紀」号の運転日は2023年6月24日(土)・25日(日)の2日間で、両日とも名古屋駅〜新宮駅間を1往復します。途中の駅での乗降はできません。大切な思い出を残してもらえるよう、車内では乗務員によるおもてなしや思い出を振り返る企画などが実施されます。
特別に編成される6両のうち、グリーン車2両と普通車指定席1両は、ジェイアール東海ツアーズ(本社:東京都中央区)が発売するツアー商品の専用車両で、5月17日(水)から発売開始予定です。残りの普通車指定席3両分については、指定席特急券として全国の駅で一般発売されます。
一方の「さよならキハ85系」の運転日は、すべての定期運行終了後の2023年7月8日(土)・9日(日)で、文字通りのキハ85系ラストラン企画となります。運転区間は名古屋駅〜高山駅間で、8日(土)は名古屋駅発の下り列車1本のみが5両編成で運転されます。9日(日)は1往復の運転で、名古屋駅発の往路が5両編成、高山駅発の復路は10両の長大な特別編成が組まれます。
「さよならキハ85系」はすべて団体専用列車としての運転で、ジェイアール東海ツアーズが6月2日(金)から発売するメモリアルツアーに参加した方のみが乗車できます。
7月8日(土)に名古屋を出発する一部の宿泊プランには、同日開催される「ファンミーティング」の参加権が付いています。現役のJR東海駅係員や乗務員、車両メンテナンス社員がホテルアソシア高山リゾート(岐阜県高山市)につどい、キハ85系の思い出を振り返ります。ミーティング参加者には、キハ85系の車両から取り外した行先表示のうち1カットをプレゼントする企画も用意されています。
そのほか、公式通販サイト「JR東海MARKET」では、キーホルダーやマグカップ、スマホケースなど、キハ85系にまつわるさまざまなグッズの販売を行い、ラストランを盛り上げます。
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