JR西日本は、特急「やくも」が伯備線で運転を開始してから50周年を迎えたことを記念し、かつて運転していた特急「スーパーやくも」のカラーリングを再現した381系車両を運転します。
第1弾編成は“より国鉄らしく”
山陽新幹線の新大阪駅〜岡山駅間が新規開業した1972年(昭和47年)3月、京阪神と山陰地方を最短所要時間で結ぶ伯備線経由のルートに特急「やくも」が登場しました。1982年(昭和57年)7月に伯備線全線と山陰本線の一部が電化されたことを機に、やくもはそれまでの気動車から381系電車へと置き換えられました。
381系は、曲線が多い線区向けに国鉄が開発した、車体傾斜機構を持つ自然振り子方式の特急車両です。中央本線の特急「しなの」、紀勢本線の特急「くろしお」にも投入されましたが、今も現役で活躍しているのは「やくも」のみです。2024年春からは「やくも」に新型の273系車両が導入され、すべての381系が順次置き換えられることが決まっています。
最初の50周年記念企画では、381系1編成が懐かしいクリーム色と赤色のツートンカラー、通称「国鉄色」へと塗り替えられました。このリバイバル編成は2022年3月19日から運転を開始し、間もなく1周年を迎えます。現在も岡山駅〜出雲市駅間で1日2往復(8・9・24・25号)の列車が国鉄色やくもで運転しています。
今回はこの国鉄色編成を対象に、国鉄時代に車両の外装に表示していた「JNR」のシンボルマークが新たに取り付けられます。塗色と相まってより当時に近い姿の車両となり、往時を懐かしみながらの旅が楽しめます。JNRマークは2023年3月16日(木)運転分の列車から取り付けられる予定です(国鉄色やくも編成、スーパーやくも編成の運転時刻など詳細は下の図表を参照)。
もう一つのリバイバル塗装は“紫”
国鉄色リバイバルやくもが登場して以降、かつての特徴的なカラーリング「スーパーやくも」塗装のリバイバルを求める声が多数あったとのことです。1994年(平成6年)〜2006年(平成18年)に運転していた「スーパーやくも」は、山陰・山陽間を少ない停車駅で結ぶ速達型「やくも」に付けられた列車愛称で、紫色を基調とした専用塗色が与えられていました。
【広島・岡山特集】二つの世界遺産と文化の魅力! 絶景、グルメ、文化など、たくさんの楽しみ方ができる山陽は観光にとってもおすすめです!(提供:近畿日本ツーリスト)
今回は、要望に応えるかたちで381系車両のうち1編成が「スーパーやくも色」へと塗り替えられ、第2弾リバイバル編成として2023年2月17日(金)から運転開始します。1日2往復の運用で、出雲市駅発の「やくも4号」(5:27発)と「同20号」(13:31発)、岡山駅発の「やくも5号」(11:05発)と「同21号」(19:05発)に充当されます。運転初日には、米子駅で「やくも5号」の到着に合わせたお出迎えイベントが開催され、下車客には鳥取県から記念品が配布されます。
なお、スーパーやくも編成は当初は4両編成で運転を開始し、2月20日(月)からは他の塗装の中間車両を追加した6両編成に組み替えられます。さらに、3月16日(木)以降は全車両スーパーやくも塗装で揃えられた6両編成で運転する予定です。
また、スーパーやくも編成の車内放送では「鉄道唱歌」のチャイム(電子音タイプ)が流れるようになっており、塗装以外でも普段とは違ったやくもの旅が演出されます。さらに、国鉄色やくも編成とスーパーやくも編成の車内では、山陰観光連盟がSNSで一般から募集した「やくも」の“ベストショット”写真が掲出され、国鉄特急車両の醍醐味を存分に味わえそうです。
現在、昔懐かしい「常備券」「補充券」の様式で制作された数量限定の記念自由席特急券「西日本懐鉄(ナツテツ)料金券(やくも)」が発売されています。これと連動した企画として、「やくも」のイラストやヘッドマークデザインが入った特別な記念乗車印が「やくも」主要停車駅(岡山駅・倉敷駅・米子駅・松江駅・出雲市駅)に期間限定で用意されます。使用済みの乗車券類を持ち帰りたい場合に駅係員に希望すると、券面に記念印を押印してもらえるとのことです。