1938年に製造されたロンドン地下鉄の車両が2021年1月3日(日)、イングランド南東部ワイト島の鉄道路線「アイランド・ライン」で最後の走行を行い、82年間の現役生活にピリオドを打ちました。
アイランド・ラインで運行されてきた483形電車は、もともとロンドン地下鉄のチューブ車両として製造され、1980年代後半までノーザン線において通勤輸送の第一線で働いていました。1989年に最初の編成がワイト島に到着し、以後はアイランド・ラインのライド・ピア・ヘッド駅〜シャンクリン駅間13.7kmを往復し、ワイト島の象徴として観光客らに親しまれてきました。
https://twitter.com/SW_Help/status/1346048730668040192
引退時点ではすでにイギリスで最古の鉄道車両となっており、ラストランが注目されていました。折しもワイト島を含むイングランド南東部には、新型コロナウイルス感染症に対する最高警戒レベル4(Tier4)が敷かれており、外出禁止令の真っただ中という不幸なタイミングとなりました。運営するサウス・ウェスタン鉄道は、大晦日にこの車両の思い出や写真を募集するツイートを行ったところ、熱心な鉄道ファンたちはそれに応え、リモートで別れを惜しんでいました。
https://twitter.com/SW_Help/status/1344608602972164097
アイランド・ラインは大規模な改良工事を行うため、1月4日(月)〜3月31日(水)まですべての列車を運休し、バスによる代替輸送が行われます。4月からはすべての車両が新型の484形に置き換わります。この車両もロンドン地下鉄からの移籍となりますが、車両製造会社ヴィヴァレールによって全面的に改装されたものが使用されます。車内には停車駅表示機や無料Wi-Fi、車椅子スペース、各座席のUSB充電端子など最新設備が搭載されます。
また、ブレイディング駅に新たに通過線路が設けられることにより、5月からは全線30分間隔で運転され、ライド・ピア・ヘッド駅でのフェリー「ワイトリンク」との接続が改善されます。484形車両導入に合わせて各駅のホームでもバリアフリー改良工事が行われ、ノスタルジックなアイランド・ラインは誰でも利用しやすい近代的な鉄道に生まれ変わります。