JR西日本「奥出雲おろち号」2023年で運転終了 木次線トロッコ列車 理由は車両老朽化

JR西日本は、木次線(きすきせん)の観光トロッコ列車「奥出雲おろち号」について、2023年を最後に運転を終了することを決定しました。

備後落合駅に停車中のJR西日本「奥出雲おろち号」(KUZUHA/写真AC)
備後落合駅に停車中のJR西日本「奥出雲おろち号」(KUZUHA/写真AC)

「奥出雲おろち号」は、窓ガラスのない開放的なトロッコ車両で風を感じながら、神話の舞台・奥出雲の山あいへといざなってくれる観光列車です。列車名は出雲神話に登場する「八岐大蛇(ヤマタノオロチ)」にちなんでいます。木次線沿線の横田町(現在の奥出雲町)からの要請を受け、1998年4月に運転を開始しました。年間約1万4千人が利用しており、島根県を代表する人気観光列車です。

木次線ならではの見どころとして、出雲坂根駅〜三井野原駅間にある、急勾配を上り下りするためのジグザグ線路「三段式スイッチバック」は必見です。出雲坂根駅構内にある水汲み場からは、寿命100年を超える古狸が好んで飲んだと言い伝えられる名水「延命水」が豊富に流れ出ます。また、亀嵩(かめだけ)駅の駅舎で営業しているそば店「扇屋」がつくる「亀嵩駅そば弁当」をはじめ、途中停車駅や車内販売でお弁当、スイーツなど沿線の美味しいものが買えるのも魅力の一つです。

2021年夏期間は、7月21日(水)〜8月31日(火)の毎日と、9月の金・土・日曜・祝日に1日1往復運転されます。基本の運転区間は木次駅〜備後落合駅間ですが、日曜・祝日を中心に下り列車のみ山陰本線の出雲市駅始発となり、備後落合駅まで直通運転します。

「奥出雲おろち号」は全車指定席のため、乗車券(「青春18きっぷ」などを含む)のほかに座席指定券(通常期片道大人530円、小児260円)が必要です。列車の定員は64名で、トロッコ車両のほかに、窓ガラスの付いた通常仕様の客車による「控車(ひかえしゃ)」が連結されています。1枚の座席指定券で控車の同じ番号の座席も利用できるため、雨天時などでも安心して旅を楽しむことができます。

【時刻表で解説】JR西日本 木次線の観光トロッコ列車「奥出雲おろち号」

JR西日本は、2022年度以降の「奥出雲おろち号」の運転計画を発表しました。それによると、2022年度は4月から土・日曜・祝日を中心に、2021年度と同程度の約130日間運転を行うことを計画しています。なお、今後の社会情勢や車両の状況により、計画は変更される場合があるとのことです。

2023年度についても4月から土・日曜・祝日を中心に運転されるものの、同年度をもって運転を終了するとしています。終了の理由として、トロッコ列車に使用している現行車両(12系客車)が製造から約50年経過し、老朽化が進んでいることを挙げています。