阿佐海岸鉄道は、線路と道路の両方を走行できるDMV(デュアル・モード・ビークル)による営業運転の開始日を2021年12月25日(土)に決定しました。
阿波海南駅〜甲浦駅間の阿佐東線は2020年11月30日をもって列車による運行を終了し、DMVへの置き換えに向けたルートの整備と、車両の試運転および性能試験が行われてきました。国土交通省の「技術評価検討会」により強度不足が指摘されていた、車両本体と車輪をつなぐアームについて補強などの対策が施され、11月4日(木)に開催された検討会において安全性が確認されました。これを受け、「阿佐東線DMV導入協議会」は11月10日(水)、営業運転の開始日を12月25日(土)とすることを発表しました。
高知県東南端・室戸岬に佇むレトロなホテル「岬観光ホテル」(提供: じゃらん)
新型コロナウイルス感染拡大の影響による関係機関との話し合いの遅れや、性能試験項目が増えたこと、再試験の発生などに伴い、当初2020年夏とされていた運行開始予定から大きくスケジュールが変更となりました。DMVの本格的な営業運行は世界初となります。
阿波海南文化村(徳島県海陽町)〜道の駅宍喰温泉(同)間を所要時間約35分で結ぶ運行ルートを基本とし、平日は13往復、土日祝日は12往復運転されます。そのほか、平日2往復・土日祝日3往復の臨時便ダイヤが組まれており、運行開始から当分の間は土日祝日の臨時便が運転される予定です。また、土日祝日の1往復に限り、阿波海南文化村〜室戸岬〜海の駅とろむ(高知県室戸市)間のルートを所要時間約1時間30分で運行します(運行ルート図と運転時刻の概要は下図を参照)。
ルート中の阿波海南駅(徳島県海陽町)〜甲浦駅(高知県東洋町)間は阿佐東線の軌道を「鉄道モード」で走行します。両端駅の構内でモード切替を行い、その他の区間は一般道路上を「バスモード」で走行します。主な区間の運賃は阿波海南文化村〜道の駅宍喰温泉間が800円(大人運賃・小児は半額、以下同じ)、阿波海南文化村〜海の駅とろむ間は2,400円です。地元の方向けに定期券や回数券が発売される予定です。
DMVは乗車定員が少なく乗客の積み残しが予想されることから、運行開始直後の繁忙期には「乗車予約制」が導入されます。予約の受付は12月2日(木)12:00から開始します。高速バス予約サイト「発車オーライネット」を通じて乗車日の2か月前からの予約を受け付け、当初の予約対象は1便あたり16席(室戸便は全席予約制)とする案が検討されているとのことです。また、運行開始直後は阿波海南文化村発の初便および第2便を「DMV運行記念プレミアムチケット」とし、応募者から抽選で予約席を指定する方式がとられる予定です。予約および応募の詳細は調整中で、決まり次第随時告知するとしています。