8月の大雨被害 奥羽線の全線復旧は10月8日頃 五能線は年内一部再開 津軽線は見通せず

2022年8月の大雨により線路設備が被災し不通となっている東北エリアの一部路線について、JR東日本は運転再開の見通しを発表しました。

被害拡大防止の処置が施されている津軽線 枝沢橋りょう(大平駅〜津軽二股駅間)の状況(画像提供: JR東日本)
被害拡大防止の処置が施されている津軽線 枝沢橋りょう(大平駅〜津軽二股駅間)の状況(画像提供: JR東日本)

五能線は岩館〜深浦間を先行復旧

東北地方では8月3日(水)以降、長期にわたり断続的に大雨が降り続いたことにより、JR東日本の在来線では多数の箇所で橋りょう倒壊、路盤流出など大きな被害が発生しました。現在も6路線に運転見合わせ区間が残っています。

秋田支社の発表によると、不通区間のうち奥羽本線の鷹ノ巣駅〜大館駅間については復旧工事が進んでおり、10月8日(土)から運転再開できる見通しとしています。現在、この区間ではバスによる代行輸送が行われており、特急「つがる」は秋田駅〜弘前駅間が区間運休となっています。

複数箇所で大きな設備被害が発生した五能線は、岩館駅〜鰺ケ沢駅間で現在も運転を見合わせ、代行バスによる輸送を行っています。このうち、岩館駅〜深浦駅間については年内の運転再開を目指して線路設備の復旧が行われます。深浦駅〜鰺ケ沢駅間についても復旧工事が行われますが、現時点では運転再開の時期に関して見通しが立っていないとのことです(不通区間の路線図など詳細は下の図表を参照)。

【路線図で解説】JR東日本 大雨の影響により東北・新潟エリアの一部区間で運転見合わせ

津軽線から「わんタク」への振替を延長

盛岡支社からは、運転を見合わせている津軽線の蟹田駅〜三厩駅間における被害状況が発表されました。大平駅〜津軽二股駅間にかかる第一今別橋りょうや枝沢橋りょうで路盤流出が発生しており、線路が宙吊りになっている箇所もあるなど被害は甚大です。現場では被害拡大防止のための処置が施されていますが、復旧については関係者と協議中で、運転再開の見通しは立っていないとのことです。特に被害が大きい箇所の復旧工事には、少なくとも数か月はかかると見込まれています。また、今後は降雪期にかかり融雪水の影響も考慮しなくてはならず、年度内の本格的な工事着手は困難な状況としています。

津軽線の運転見合わせ区間では引き続き代行バスが運転されるほか、デマンド型乗合タクシー「わんタク」への振替輸送も行われています。「わんタク」は青森県今別町・外ヶ浜町の一部エリアが対象の交通手段で、地域住民や観光客向けの実証実験として運行されてきました。実証期間は9月30日(金)までとされていましたが、津軽線の運休が長期化していることから延長され、2023年3月31日(金)まで継続運行されます。

JR東日本管内ではそのほか、磐越西線の喜多方駅〜山都駅間、米坂線の今泉駅〜坂町駅間および、花輪線の鹿角花輪駅〜大館駅間で大雨被害のため運転が見合わされています。これらの区間の復旧のめどは立っておらず、当分の間、代行バスによる輸送が続けられます。