マレーシアにMRT新路線 首都の交通網さらに充実 全線56km 無人運転のプトラジャヤ線

マレーシア首都のクアラルンプール市内と近郊を含むクランバレー圏域で整備が進められてきた大量輸送機関(MRT)「プトラジャヤ線」について、第2期区間が2023年3月16日(木)に開業し、全長56.2kmの全区間で営業運転を開始しました。

MRTプトラジャヤ線で運行している現代ロテム製の4両編成電車(Wei Kakurai/CC BY-SA 4.0 via Wikimedia Commons)
MRTプトラジャヤ線で運行している現代ロテム製の4両編成電車(Wei Kakurai/CC BY-SA 4.0 via Wikimedia Commons)

36駅・全線85分の長大路線

クランバレーのMRTプロジェクトは、慢性的な交通渋滞の解消を目的に国の事業として計画が進められています。2016年12月に最初の路線「カジャン線」(当時はスンガイ・ブロー-カジャン線)が部分開業し、2017年7月に全線が開通しました。

プトラジャヤ線は2番目の路線で、クアラルンプール北西部の新しい住宅開発地であるクワサ・ダマンサラ駅から、南部の行政新都心にあるプトラジャヤ・セントラル駅までを結びます。2015年10月に政府が計画を最終承認し、2016年9月から建設工事が始まりました。

最初の区間であるクワサ・ダマンサラ駅〜カンポン・バトゥ駅間(17.5km)は2022年6月16日に開業しました。今回、残りのカンポン・バトゥ駅〜プトラジャヤ・セントラル駅(38.7km)が開通し、全線一体の営業運転が開始しています。

市内中心部の13.5kmは地下トンネルで、その他の区間は高架線路です。全部で36駅設けられ、そのうち10駅でマレーシア国鉄(KTM)や中量輸送機関(LRT)などの既存路線と乗り換えができます。さらに、将来開業を予定している5つの暫定駅も建設されています。

プトラジャヤ線の車両は、韓国の現代ロテムとポスコ・エンジニアリング、マレーシアのエイペックス・コミュニケーションズからなるコンソーシアムが製造を手がけました。最大定員1,200名の4両編成で、49編成の車両が新造されました。センター運行管理による完全無人運転が行われています。

ちなみに、起点から終点まで乗り通した場合の所要時間は約85分と、都市鉄道としてはかなりの長大路線です。

駅のデザインは時代を超えたシンプルさが追求されており、高架駅の外に張り出した飾り柱など、カジャン線の高架駅と比べて親しみやすさや開放感が感じられます。マレーシアの伝統家屋にあるベランダ「セランビ(Serambi)」をコンセプトとしており、日本の「禅」を含むさまざまな概念も取り入れられているそうです(MRTプトラジャヤ線の概要、路線図、接続駅での乗り換え路線など詳細は下の図表を参照)。

【路線図で解説】MRTプトラジャヤ線の概要、路線図、接続駅での乗り換え路線

沿線開発の遅れがアキレス腱

政府は、プトラジャヤ線の全線開業により、現在は20%程度と言われる都心での公共交通機関の利用シェアを40%にまで引き上げたい考えです。実際に、沿線の17駅にはパークアンドライド駐車場が併設されており、都心部に乗り入れるマイカー通勤者を約6,400台分減らせる計算です。

プトラジャヤ線の計画段階では、沿線開発による人口増加が前提となっていたため、1日あたりの利用者数が約10万人以上になると期待されていました。しかし、市場環境の悪化や新型コロナウイルス感染症の影響を受け、現時点では計画通りの利用は見込めない状況です。

例えば、クアラルンプール南部ではマレーシア最大級と言われる「バンダル・マレーシア」という開発計画あります。2015年の政府入札により中国企業との契約が結ばれましたが、2017年に突然、契約が白紙に戻り、いまだに開発は動き出していません。敷地内にはプトラジャヤ線の新駅が2つ設置される予定ですが、開業時期は見通せていない状況です。

クランバレーでは3路線目となるMRT「環状線」の計画もあり、より慎重な乗客数の予測を行いながら、2030年の全線開通を目標にプロジェクトが進められます。

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