熊本電気鉄道は、国に鉄道運賃の上限変更申請書を提出し、認可されれば2025年10月1日(水)に運賃改定を実施します。
運転士不足→大幅減便→利用者減
同社は2023年10月にも平均改定率13.22%(普通運賃)の運賃改定を実施しており、2年ぶりという短い期間で値上げが続きます。コロナ禍やエネルギー価格高騰の影響を受けた2020年度に2億円を超える営業赤字を計上しており、輸送人員は回復傾向にあるもののコロナ前の水準には届いていません。また、2025年に入って運転士の退職を理由に大幅な減便を伴うダイヤ改正を実施し、それによる利用者減少が発生しているとのことです。
さらに、近年の物価や人件費の高騰によって設備投資費用が増加し、2024年度の赤字額は約1億2千万円と、依然として厳しい経営状況が続きます。熊本電鉄は、安全輸送を今後も維持するためには乗務員などの待遇改善を行い、設備の補修も継続的に行う必要があるとしています。運賃改定により収支を改善し、2028年度には赤字額を4千万円程度まで減らす計画です。
申請上限運賃よりも値上げ額は抑制
上限運賃の平均改定率は普通運賃が33.18%、通勤・通学定期運賃が30.33%で、現行180円の初乗り運賃は230円で申請します。ただし、急激な負担増加を緩和するため、上限額から値上げ額を抑えた額を実施運賃として届出により設定する方針です。実際の初乗り運賃は210円と、現在より30円の値上げに抑えられますが、2023年9月までの初乗り運賃160円を基準にすると2年間で約31%の値上げとなります。
主な区間の一つである藤崎宮前駅~御代志駅間の実施運賃は、普通運賃が現行の460円から550円へと90円の値上げ、1か月通勤定期が現行16,560円から19,800円へと2,240円値上げされます。9月30日(火)までに改定前の運賃で購入した定期券類については、改定後も有効期間内はそのまま利用できるとのことです。