利用者僅少の駅ばかり停車「飯田線秘境駅号」今秋も 銘酒を楽しめる特別列車を“意外な始発駅”から初運行

JR東海は、駅周辺に人家が少なくほとんど利用客がいない“秘境駅”にこまめに停車する臨時急行列車「飯田線秘境駅号」を2025年10~11月の6日間に計11本運行します。

秘境駅ランキング上位駅を連続で楽しむ

国内屈指の長大ローカル線である飯田線の豊橋駅と飯田駅を結ぶ秘境駅号は、同区間を定期運行している特急「伊那路」と同じ373系3両編成を使用しながらも、特急が通過する秘境駅に次々と停車するユニークな運行ダイヤが特徴です。秘境駅のホームや駅舎、周辺の自然を堪能できるよう各停車駅では10分前後の停車時間を設けており、「S字鉄橋」など飯田線の景勝地では車内放送案内とともに徐行運転を行います。運転日には飯田駅に秘境駅号記念スタンプが設置されるほか、車内での乗車記念証の配布や、一部駅での地元特産品の販売もあります。

全区間の所要時間は下り列車が5時間40分(豊橋駅9:50発、飯田駅15:30着)、上り列車は4時間49分(飯田駅13:05発、豊橋駅17:54着)で、非日常感あふれるゆったりとした鉄道旅を楽しみたい方向けの列車です。停車駅は方向により異なりますが、秘境駅ランキングで上位とされる小和田(こわだ)駅、中井侍(なかいさむらい)駅、田本駅、金野(きんの)駅などには上下列車とも停車します。10月25日(土)は上り豊橋駅行のみの運転で、11月8日(土)・9日(日)・15日(土)・22日(土)・29日(土)の各日は上下各1本を運転します。

伊那谷の酒と南アルプスの車窓を味わう

今秋の特別企画として、長野県南部の伊那谷地方のお酒を味わいながら列車の旅を楽しめる特別列車が10月25日(土)限定で設定されます。沿線の伊那市から春日酒造と宮島酒店、宮田村から本坊酒造(マルス駒ケ岳蒸留所)が参画し、車内で酒蔵や蒸留所の方による酒造りのこだわりを聞き、車窓に広がる南アルプスの風景を肴に日本酒や蒸留酒を楽しめるという内容です。伊那市駅(10:57頃)始発で飯田駅(12:26頃着)まで秘境駅号と同じ車両を使用した団体特別列車として運行し、飯田駅からは豊橋駅まで秘境駅号として引き続き運行します。

秘境駅号に乗車するには、乗車券に加えて全国のJR駅で発売される急行券・指定席券を購入する方法と、旅行会社(JTB、クラブツーリズム、阪急交通社)のツアー商品に申し込む方法の2通りがあります。伊那谷のお酒を味わう特別列車はきっぷの発売は行われず、特別列車と秘境駅号を乗り継ぐ旅行商品(JTB、阪急交通社)を購入した方のみが乗車できます。なお、JR東海は、長野県大鹿村・伊那市・飯田市で地域住民が進めている森林整備を「南アルプス育みの森」として支援しており、これによるCO2吸収量を活用し、秘境駅号を含む飯田線列車をCO2実質ゼロ排出で運行する「ゼロカーボンデー」を10月25日(土)と11月8日(土)に実施します。

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