のと鉄道とJR西日本、石川県など関係自治体が申請した「鉄道事業再構築実施計画」が国に認定され、のと鉄道の整備や維持管理にかかる費用を自治体が支援する枠組みが決まりました。
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能登半島地震でさらに人口減少
2024年1月の能登半島地震がもたらした人口流出の加速や多額の復旧費用により厳しい状況を強いられている能登の地域交通ですが、本格的な復興を果たすために県は、持続可能な交通網を再構築する方針を示しています。のと鉄道七尾線は同年4月に全区間で運転を再開しましたが、将来にわたり経営を安定化するため、七尾市・輪島市・珠洲市・穴水町・能登町も加わって今後10年間の再構築計画を策定しました。
計画では、JR西日本が鉄道施設を保有する第三種鉄道事業者、のと鉄道が施設を有償で借り受けて運行する第二種鉄道事業者という現在の形態は維持されます。のと鉄道が負担している鉄道施設の整備費や修繕費については、新たに結ぶ協定に基づき県と沿線の七尾市・穴水町が全額負担し、のと鉄道は安全運行に専念できる持続性が高い事業構造に変更します。
73億円かけ10年で再構築
利用者の利便性向上策として、普通列車の車両を今後3年間で加速性能の良い電気式気動車に更新して速達性を高めることや、レールや枕木を改良して乗り心地を改善することが示されています。デジタル乗車券によるキャッシュレス対応、運行情報提供装置の設置、バリアフリー対策、二次交通との接続強化など駅施設の改良も行います。また、観光列車「語り部列車」「ポケモン列車」「のと里山里海号」などを活用した観光利用の促進や、地元利用者向けの運賃割引などマイレール意識を高揚させる取り組みも併せて実施します。
再構築の総事業費は約73億円で、そのうち車両や駅などへの設備投資については、今回の計画認定により補助率が拡大する国からの交付金を活用する予定です。のと鉄道の事業構造が現在のままの場合、10年後の当期純利益は約1500万円の赤字が見込まれていますが、再構築事業の効果により、赤字額は約76万円まで縮減できる見通しです。