「白いロマンスカー」 1編成が9月24日に引退 2本のVSE“共演”イベントも最後 引退後は?

小田急電鉄は、2022年3月に定期運行を終了して現在はイベント列車などで運行している「特急ロマンスカー・VSE(50000形)」車両について、全2編成を2023年12月までに順次引退します。

2編成が並ぶ姿を見られるのも後わずかの期間となった「特急ロマンスカー・VSE」小田急5000形電車(画像提供:小田急電鉄)
2編成が並ぶ姿を見られるのも後わずかの期間となった「特急ロマンスカー・VSE」小田急5000形電車(画像提供:小田急電鉄)

完全引退の12月に向けラストランイベント

ロマンスカー・VSE(Vault Super Express)は、箱根観光輸送のフラッグシップモデルとして2005年(平成17年)に運行を開始した特急専用車両です。室内高2.55mの余裕ある空間がもたらす高い居住性が最大の特徴で、ロマンスカー伝統の展望席や側面の大型窓からの眺望の良さ、車体傾斜制御技術による快適な乗り心地も好評でした。

細かく輝くシルキーホワイトを基調とした優美なデザインから「白いロマンスカー」の呼び名で親しまれましたが、「車両の経年劣化や主要機器の更新が困難になる見込み」であるとの理由で引退が決まりました。2022年3月11日(金)をもって約17年間にわたる定期運行を終了し、その後は団体専用列車として、VSEの余韻に浸りたいファンのために特別企画が数回組まれています。

全2編成あるVSEの引退予定は2023年秋頃と告知されていましたが、そのうち50002編成10両の引退日が2023年9月24日(日)に決まりました。残る1本の50001編成10両については2023年12月の引退を予定とし、ラストランに向けた限定イベントなどが順次展開されます。

(ロマンスカー・VSE50000形のラストランに向けての特別企画、オンラインイベントなど詳細は下の図表を参照)

【図表で解説】ロマンスカー・VSE50000形のラストランに向けての特別企画、オンラインイベント

車両設計者の解説が聞けるオンラインイベントも

9月23日(土)・24日(日)に行われる記念イベントのタイトルは「ありがとう50002編成~VSE 2編成最後のランデブーミステリーツアー~」です。

VSEが共演する“追いかけっこリレー”など、2編成あるからこそ実現可能な特別企画がこれまで3回にわたり実施されてきましたが、今回ついにファイナルを迎えます。2編成による抜きつ抜かれつの走行や乗り継ぎなどの特別な体験ができるほか、海老名電車基地(神奈川県海老名市)で2編成を並べた最後の撮影会に参加できるコースも用意されます。

また、9月10日(日)から全3回、車窓風景や走行音などVSEの乗車体験そのものを満喫できるツアー「さよなら50002編成~ロマンスをもう一度、車窓風景を楽しむ旅~」が催行されます。9月18日(月・祝)には、先に引退する50002編成単独の撮影会「VSE50002編成フォトセッション IN 喜多見」が喜多見検車区(東京都世田谷区)で実施されます。

これらの企画の募集人数や対象年齢、参加費などの詳細は、「小田急旅の予約サイト」の鉄道ツアーページで順次告知されます。

さらに、小田急で複数のロマンスカーや通勤車を手掛けた現役の車両設計者が登壇するオンラインイベント「VSE車両技術講座」が9月9日(土)に開催されます。VSEの運転席や車内の特徴、連接台車をはじめとする車両構造の詳しい解説が聞けるほか、参加者からの質問に答える時間も設けられます。参加は無料で、「小田急子育て応援ナビ~FunFanおだきゅう~」からの事前申込制となります。

なお、引退後のVSEについて小田急は、海老名駅に隣接する「ロマンスカーミュージアム」(神奈川県海老名市)での展示に向けて検討を進めるとしています。

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