線路減らして万博輸送対策? 大阪上本町駅を改良 バスターミナルへの“近道”整備へ 近鉄

近畿日本鉄道と近鉄不動産(本社:大阪市)は、2025年の大阪・関西万博へのアクセス拠点となる大阪上本町駅を利用しやすくするため、バスターミナルと駅施設の改良に着手します。

バスターミナルへの通路新設に伴い廃止が予定されている大阪上本町駅3号線に停車中の近鉄1420系電車(Katsumi/TOKYO STUDIO)
バスターミナルへの通路新設に伴い廃止が予定されている大阪上本町駅3号線に停車中の近鉄1420系電車(Katsumi/TOKYO STUDIO)

近鉄特急と「万博シャトルバス」の乗り換え拠点

万博会場の夢洲へは、Osaka Metro 中央線が直接乗り入れてメインアクセスを担うことが決まっていますが、大阪市内を中心とした主要鉄道ターミナルからも予約制シャトルバスの運行が計画されています。伊勢志摩方面の特急列車などが発着する大阪上本町駅もその一つで、6台の大型バスを活用して1日あたり最大18便、820人の輸送に対応できる体制が想定されています。

近鉄バスが運行を担当する万博シャトルバスは、同駅2階にあるバスターミナルに乗り入れる予定です。現在は伊丹空港リムジンバスの発着場として使用されていますが、列車からの乗り継ぎ動線がわかりにくく、乗り換えに思ったより時間がかかるとネット上での評価はいまいちです。

そこで、近鉄グループはバスターミナルと1階の駅部分の改良工事を並行して実施し、上本町ターミナルの交通結節点としての機能を向上させて万博輸送に備えます。

(近鉄大阪上本町駅の駅構内図、万博アクセス拠点となる2階バスターミナルへの動線など詳細は下の図表を参照)

【図表で解説】近鉄大阪上本町駅の駅構内図、万博アクセス拠点となる2階バスターミナルへの動線

「3番のりば」を廃止してバス乗換通路に

大阪上本町駅2階にあるバスターミナルは柱や照明、案内サインなどが美装化され、3バースを持つ「アイランド型」バスのりばへと増強されます。万博シャトルバスや伊丹空港行バスのほか、貸切バスの発着場としての運用にも対応した設計です。

大阪線のターミナルで、頭端式ホームが並ぶ1階の駅部分も様変わりします。「3号線」(3番乗車・降車ホーム)を廃止し、この敷地をバスターミナル利用者のための連絡通路に転用するというものです。

新たに整備される通路には、1階と2階をつなぐ上下エスカレーターとバリアフリー対応エレベーターが設けられます。待合スペースやトイレのほか、鉄道・バス情報をはじめとする案内機能も整備されます。

新設通路と地上ホームとの間に設置される新改札口を通ることにより、近鉄線からバスターミナルへの動線がわかりやすくなり、乗り換え時間の短縮も見込めます。駅外部からバスを利用する動線も考慮し、駅に直結する「シェラトン都ホテル大阪」1階の正面玄関付近には新通路へ通じる出入口が設置されます。

今回の万博アクセス整備に伴い、ホーム7面、線路6線を有する大阪上本町駅の地上ターミナルは「6面5線」へとスケールダウンします。大阪線の運行ダイヤに影響がないとするならば、関西私鉄黎明期の思想であった「余裕のあるターミナル設計」が令和の時代に活かされる好例となりそうです。

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