小田急グループの東海自動車(東海バス、本社:静岡県伊東市)は、バス案内所と引退した路線バス車両を一体的にリノベーションした1日1組限定の宿泊施設「ばすてい」を2023年11月17日(金)、静岡県西伊豆町に開業します。
築73年の木造案内所をリノベーション
「バスと過ごす」をコンセプトに、1棟1台を貸し切っての特別なバス宿泊体験ができる全国的にも珍しい宿泊施設が誕生します。場所は駿河湾沿いの西伊豆町にある「宇久須(うぐす)案内所」です。ここは、鉄道との直通乗車券を販売する「宇久須駅」として1950年(昭和25年)から営業していましたが、2022年3月末をもって案内所としての役目を終えました。
木彫りの看板を掲げた築73年の木造建築は趣があり、周辺には美しい景観の宇久須海水浴場や港、温泉、ガラス工房などの観光資源にも恵まれています。ここを活かして新たな魅力をつくれないかと考え出されたのが、どこか懐かしいローカルバスの雰囲気を楽しめる宿泊施設への転用です。東海バスは、人口減少が続く地域に魅力を与え、賑わいをつくり出す拠点として育てたい考えです。
施設名の「ばすてい(BUSTAY)」は「バス」と「ステイ」の組み合わせで、現在も使用しているバス停に併設していることも表しています。アクセスは伊豆箱根鉄道駿豆線の修善寺駅からで、東海バス「快速・松崎行」に乗車して約70分で着く「宇久須」バス停を降りて正面にあります。三島駅からの「特急・松崎行」が停車する「BP(バイパス)宇久須」バス停からも至近距離です。
(東海バスが西伊豆に開業する宿泊施設「ばすてい」にある旧案内所建物とバスの写真など詳細は下の図表を参照)
案内所で寝る? それともバス車内で?
案内所内の待合室だった場所は、内装の見た目をほとんど変えずに補修され、飲食が可能なダイニングルームになりました。バスの待ち時間に腰掛けていた木のベンチや、図書室のように本を自由に手に取れる本棚も復元されます。
カウンターと事務室のスペースは調理器具を備えたキッチンとなり、当時の名残ある空間で料理も楽しめます。事前予約により、地元の民宿や漁協の協力による海の幸を盛り込んだセットを用意することもできるそうです。ベッドルームはかつて倉庫などに使用されていた部屋に設けられており、浴室やトイレ、洗面なども完備しています。
建物横には、1999年(平成11年)に運用を開始した中型バス車両「いすゞ・ジャーニー」が配備されます。東海バスグループが所有する最後の1台となった車種で、伊豆半島各地で見られたかつてのレトロカラーに塗装されています。
運転席に座ってハンドルや行先表示ボタンを操作したり、降車ボタンを何度でも押したりと、普段のバス乗車ではできない体験を存分に楽しむことができます。車両中央から後方は、座席を向かい合わせたボックス席やベッドが設置されたくつろぎの空間となっており、案内所とバス車内のどちらで一晩を過ごすかは気分次第です。
「ばすてい」の宿泊予約は、東海バス公式サイトで11月10日(金)12:00から受付を開始します。宿泊料金は1棟1泊34,000円からで、食事の予約には別途料金が発生します。予約から現地でのチェックイン、チェックアウトまでインターネットで完結する無人運用方式を採用しており、一棟貸し施設ならではのプライベート感も演出されます。
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