振り子式「キハ281系」引退 定期運行9月終了 10月「スーパー北斗」としてラストラン

JR北海道は、1994年(平成6年)3月に営業運転を開始した「キハ281系」車両の定期運行を2022年9月をもって終了し、10月にはラストラン運行を実施します。

特急「北斗」の定期運行を終了するJR北海道キハ281系気動車(中村 昌寛/写真AC)
特急「北斗」の定期運行を終了するJR北海道キハ281系気動車(中村 昌寛/写真AC)

「HEAT281」ロゴマーク復活

函館駅〜札幌駅間を最高速度130km/hで結ぶ特急「スーパー北斗」としてデビューした281系は、噴火湾をイメージしたブルーの前面塗装で北海道の特急車両のイメージを一新しました。曲線の通過速度を高速化できる振り子式気動車で、停車駅が東室蘭駅のみに絞られた「スーパー北斗2号」は当時、札幌駅から函館駅まで2時間59分で走破するなど、道内の移動時間の大幅な短縮に貢献しました。

その後、振り子式車両の開発は後継のキハ283系に引き継がれ、安全性最優先の取り組みとして2013年(平成25年)11月から最高速度が120km/hに抑えられていますが、現在も上下計6本の特急「北斗」として定期運行しています。

2022年9月30日(金)をもって「北斗」の定期運行は終了となり、10月1日(土)からはキハ261系車両へとバトンタッチします。試作車であるキハ281-901号にはラストランに向けて特別塗装が施され、導入初期の愛称「HEAT281」をかたどったロゴマークが復活します。この車両は、8月29日(月)から一部の定期列車の運用に組み入れられる予定です。また、新函館北斗駅の在来線ホームでは、281系運行の「北斗」発着時に限り、電光掲示板に特別デザインが表示される企画が実施されています(定期列車およびラストラン列車の運転時刻など詳細は下の図表を参照)。

【時刻表で解説】JR北海道 キハ281系車両ラストラン

ラストランは1駅以外ノンストップ

定期運行終了後の10月22日(土)・23日(日)、デビュー当時の列車名「スーパー北斗」として2日間限定のラストラン運行が実施されます。函館駅〜札幌駅間を1日1往復し、途中停車駅は東室蘭駅のみと、往年の再速達列車をイメージしたダイヤでの運行となります。8両編成は全車指定席で、札幌駅寄りの8号車には特別塗装された試作車901号が連結される予定です。指定席は1か月前午前10時から全国の主な駅、インターネット予約サービス「えきねっと」などで発売されます。

ラストラン列車には、2019年2月まで乗務していた客室乗務員の制服を着用したスタッフが乗務し、乗客に「乗車記念証明書」のプレゼントを行います。乗車日と行先によりデザインが異なる4種類が用意され、裏面2枚を合わせるとラストラン編成のイラストがつながる仕掛けとなっています。また、10月23日(日)の下り列車発車に合わせ、函館駅改札内の連絡通路では湯の川温泉のご当地キャラクター「ちかつまる」や地元の方々によるお見送りが実施されます。

そのほか、函館駅、新函館北斗駅では9月3日(土)から、函館駅開業120周年を祝した記念乗車券、記念入場券セットの発売が行われます。乗車券は2駅発売分の裏面を並べると281系の絵柄が完成する仕様となっており、入場券セットの台紙には引退する281系をはじめ、函館本線を走っていた懐かしい列車の写真やヘッドマークが紹介されています。2023年8月31日(木)まで両駅のみどりの窓口で発売されますが、なくなり次第終了となります。