JR西日本は、特急用気動車車両キハ189系を改造した新たな観光列車を導入し、2024年秋から季節ごとに線区を変えたルートで運行します。
“グリーン車以上”のインテリア
列車名は決まっておらず、“特別な旅を創る新たな観光列車”と位置付けられています。「地域共生企業として、鉄道の強みを生かした賑わい創出をさらに推進するため」と導入の目的を説明しています。季節ごとに運行エリアを変えながら、利用者と各地域を結び、地域の魅力を発信する列車にしていきたいとのことです。
特急「はまかぜ」などで運行しているキハ189系をベースに、「地域の華(はな)を列車に集めて、お客様と地域の縁を結ぶ列車」のコンセプトにより改造が施されます。現在のステンレス地を基本としたエクステリアから大きくイメージが変わり、「どこを走っても沿線や駅舎に映える」よう、黒褐色をベースとしたデザインに一新されます。この車体カラーは、ヤシ科の植物の実を染料とする「檳榔子(びんろうじ)染め」をイメージしており、紋付きの染めの中で最高級とされる気品のある色です。
車内はゆったりと過ごせる空間となるよう、3両編成で定員は54席に抑えられます。すべての座席がハイグレード仕様となり、グリーン車以上の価格帯となるよう計画されています。乗客同士の歓談の場となる「フリースペース」も設けられ、地域の方々によるイベントなどにも活用していくとのことです(新しい観光列車のデザインイメージ、第1弾ルートの路線図など詳細は下の図表を参照)。
京都丹後鉄道にも乗り入れ
デザイナーの川西康之さんが率いるイチバンセン(本社:東京都渋谷区)との共同作業により、基本コンセプトの制定から内外装デザイン、グラフィック策定などが進められます。同社は公共交通分野に強みを持つ建築設計事務所で、JR西日本の車両デザインとしては、2020年9月にデビューした新しい長距離列車「WEST EXPRESS 銀河」に続いての担当となります。
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北陸新幹線の敦賀延伸開業を機に、2024年秋に開催される大型観光企画「北陸デスティネーションキャンペーン(DC)」に合わせて運行を開始する予定です。第1弾として、若狭湾に面した小浜線、「海の京都」エリアを通る京都丹後鉄道などを経由し、敦賀駅から城崎温泉駅までを結ぶ運行ルートが計画されています。第2弾以降も季節ごとにルートが設定され、西日本各地で“とっておきに出会う旅”を提案していくとのことです。非電化区間でも走行できる気動車であるため、直流電車車両の「WEST EXPRESS 銀河」と比べてもルート選定の自由度は高く、今後の意外な展開が期待できます。
JR西日本は、新たな観光列車が地域活性化のきっかけとなることを狙っており、「お客様がリピーターとなってその地域を訪問していただくことで、各地で賑わい創出の好循環を作ってまいります」とコメントしています。今後、列車名や運行の詳細が決まった際に改めて告知するとしています。