静岡鉄道は、旅客運賃の改定申請を国土交通省中部運輸局に提出し、2023年4月1日(土)に改定率12.0%となる値上げを実施すると発表しました。
A3000形への置き換え最終段階
人口減少や景気低迷などにより利用者数は1968年(昭和43年)をピークに減少傾向にあるとのことで、新型コロナウイルス感染症拡大による外出控えや生活様式の変化がさらなる利用減少を招いているとしています。今後もコロナ前の水準には需要が戻らないと想定される中、施設の老朽化や安全対策の高度化などにより設備維持の費用が年々増加しており、経営環境は厳しさを増しています。
普通運賃は2kmまでの初乗り運賃が現行の140円から160円となるほか、すべての区間で一律20円加算されます。通勤定期運賃は1か月定期で区間により360円〜2,030円の値上げとなり、平均割引率は現行の38.4%から33.6%へと引き下げられます。一方で、通学定期券については、「学ぶ人や子育て世代を応援するため」現行のまま運賃据え置きとなります。
同社は2019年(令和元年)10月、消費税率引き上げ分を上回る運賃改定を実施しており、初乗り運賃は120円から20円値上げされました。コロナ禍の影響を受けた2021年度の輸送人員は、前回の改定申請時に立てた需要見通しを2割程度下回っており、約3年半ぶりという短いスパンで再び値上げが行われます。仮に現行運賃のままで営業を続けた場合、鉄道部門の収支は2023年度からの3年間で約5億円の赤字となることが推定されており、値上げによる増収で2006年(平成18年)から続く営業損失に歯止めをかけたい考えです。
静岡鉄道は老朽化した車両の置き換えを2016年から進めており、2023年度をもって新型車両「A3000形」全12編成への更新が完了する予定です。同形式は、衝突安全性のため高強度化したステンレス車体、低騒音の全閉構造モーター、多様な利用者に使いやすいユニバーサルデザインの採用などを特長としています。メンテナンス性向上による修繕費の抑制、省エネルギー化による消費電力の抑制といった収支改善効果も期待できるとのことです。
併せて、スロープや多目的トイレの設置など、駅のバリアフリー化にも引き続き取り組んでおり、2022年度は古庄駅のバリアフリー化工事に着手しています(運賃改定前後の運賃比較、ダイヤ変更の概要など詳細は下の図表を参照)。
高齢化社会に合わせダイヤ見直し
一方、2022年12月1日(木)に静岡清水線のダイヤ変更を行うことも発表されました。今回は、終日にわたり駅停車時間が見直されます。高齢化社会の進展に伴うものとのことで、静岡駅〜新清水駅間の所要時間はラッシュ時間帯で現行の22分から24分に、その他の時間帯では21分から23分へとそれぞれ2分増加し、各駅で余裕を持った乗降時間が確保されます。
また、平日の朝ラッシュ時間帯の運転間隔が6分間隔に統一されるほか、土日祝日の朝時間帯は10〜15分間隔の運転に変更されます。平日・土日祝日とも21:30以降の夜間時間帯は上下各2本の列車が増発され、運転間隔は現行の20分から15分へと改善されます。
なお、始発列車および最終列車については、始発駅(新静岡駅・新清水駅)の発車時刻に変更はありませんが、上記の停車時間見直しにより各駅での発車時刻に変更が生じる場合があります。