古墳多し! 奈良「サイクルトレイン」通年実施へ 自転車と一緒に電車旅を 近鉄田原本線

近畿日本鉄道は、自転車をそのまま車内に持ち込むことができる「田原本線サイクルトレイン」を2022年春と秋に期間限定で実施しましたが、2023年4月22日(土)から通年サービスとして実施します。

田原本線などで運行している近鉄8400系電車(ジュンP/写真AC)
田原本線などで運行している近鉄8400系電車(ジュンP/写真AC)

“電車+自転車”で遺跡めぐり旅へ

田原本線は西田原本駅〜新王寺駅間の10.1kmを結ぶ短い路線ですが、歴史は古く、1918年(大正7年)4月26日に大和鉄道として開業してから今年で105周年を迎えます。開業当時は狭軌(線路間の幅1067mm)の蒸気鉄道で、国鉄から直通の貨物輸送も行われていました。

一時期は桜井駅まで路線を延ばしており、名張・宇治山田方面への延長計画も立てられていたそうです。しかし、近鉄の前身である大阪電気軌道との競合に敗れてその傘下に入り、標準軌(同1435mm)への改軌と電化が行われて現在の路線形態となっています。

田原本線沿線の「奈良県営馬見丘陵公園」は、古墳が集積する丘陵地にチューリップやネモフィラ、ダリアなど四季折々の花が咲く、広大な敷地の都市公園です。ほかにも、聖徳太子が往来したとされる「太子道」、弥生時代の集落に思いをはせられる「唐古・鍵遺跡」など古代にルーツを持つ見どころが点在しています。箸尾駅からは、全長180kmのサイクリングルート「京奈和自転車道」へのアクセスも便利です。

田原本線沿線を活性化したい近鉄は、奈良県や田原本線近隣の各町(王寺町・河合町・広陵町・三宅町・田原本町・上牧町・川西町)と連携して2022年4月に初めてサイクルトレインを運行しました。秋の行楽シーズンにあたる2022年9〜12月にも再び実施し、今回の通年実施へとつながりました。

平日・土休日とも、始発駅を9〜15時台に出発する列車が対象で、3両編成のうち中間の2両目に自転車をそのまま持ち込んで乗車できます。自転車を解体したり、輪行袋に格納したりする必要はなく、追加料金や事前予約も不要です。サイクリストだけでなく、お買い物などの普段使いや、いつもより少し遠くのお出かけなどにも気軽に利用できるサービスです。

なお、駅の構造上の理由により、佐味田川駅と大輪田駅ではサイクルトレインを利用することはできません(「田原本線サイクルトレイン」利用可能区間の路線図、その他の近鉄サイクルトレインなど詳細は下の図表を参照)。

【路線図で解説】「田原本線サイクルトレイン」利用可能区間の路線図、その他の近鉄サイクルトレイン

伊勢志摩でも2つのサイクルトレイン

近鉄では、伊勢志摩地域でもサイクルツーリズムを盛り上げる取り組みを沿線自治体と連携して行っています。

山田線・鳥羽線・志摩線の松阪駅・五十鈴川駅〜賢島駅間では、日中時間帯の普通列車でサイクルトレインが実施されています。2022年9月3日以降、年末年始やゴールデンウィークなどの多客期を除いて通年で利用可能となっています。

また、既存の観光列車「つどい」の一部車両に取り外し可能なサイクルスタンドが設置され、団体専用サイクルトレインとしての運行が開始しています。列車名は『観光列車「つどい」サイクルトレイン-KettA-』で、主に東海地方の方言で自転車を意味する「ケッタ(マシーン)」を由来とする愛称が付けられました。

2023年3月4日(土)〜5日(日)にお披露目イベントと無料試乗会が実施され、今後はサイクリングに適した季節に沿線各地で運行される予定です。直近では、5月と6月に近鉄名古屋駅から伊勢・鳥羽方面への運行が決まっており、自転車と一緒に「KettA」に乗車できるツアー商品が現在発売されています。

【首都圏発】大阪・奈良・京都を結ぶ観光特急「あをによし」 1300年前の歴史・文化を感じられる列車に乗って、古都・奈良へ出かけませんか。(提供:近畿日本ツーリスト)