能登半島地震で不通「のと鉄道」復旧へゴーサイン 2月中旬目標に一部区間で運転再開

のと鉄道とJR西日本は、令和6年能登半島地震で甚大な被害を受け全線で運転を見合わせているのと鉄道七尾線について、2月中旬から一部区間での運転再開を目指して復旧工事に着手すると明らかにしました。

地震発生前、穴水駅に停車中ののと鉄道NT200形気動車(りっくん_/写真AC)
地震発生前、穴水駅に停車中ののと鉄道NT200形気動車(りっくん_/写真AC)

JR七尾線は22日に七尾駅まで運転再開済み

2024年1月1日(月・祝)に石川県能登地方を震源とする最大震度7の地震が発生し、強い揺れや津波により倒壊などの被害を受けた住宅が石川県だけで3万7千棟を超えるなど深刻な被害をもたらしました。北陸・新潟地方の鉄道でもレールや路盤、ホームなどの施設が損傷を受け、多くの区間で運転見合わせと復旧工事が行われました。

震源に近いJR西日本の七尾線は高松駅以北で運転見合わせが続いていましたが、高松駅〜羽咋駅間は1月15日(月)、羽咋駅〜七尾駅間は1月22日(月)のそれぞれ始発列車から運転を再開しました。普通列車に加え、特急「能登かがり火」「サンダーバード」も一部列車が七尾駅発着で運転しています。

七尾駅〜和倉温泉駅間(5.1km)は現在も不通で、橋りょうのずれが発生したほか、和倉温泉駅ではホームの損傷や駅前広場の液状化が確認されています。JR西日本によると、おおむね2月中旬の運転再開を目指してこの区間で復旧作業を進めているとのことです。

(能登半島地震で運休中のJR西日本・のと鉄道七尾線の運転再開見込み、被害の写真など詳細は下の図表を参照)

【路線図で解説】能登半島地震で運休中のJR西日本・のと鉄道七尾線の運転再開見込み、被害の写真

災害派遣隊の支援とJRの協力で鉄路を守る

第三セクターのと鉄道が運営する和倉温泉駅〜穴水駅間(28.0km)はさらに震源に近く、レールの湾曲や線路上の土砂災害などといった甚大な被害が各所で発生しました。職員は全員の無事が確認されましたが、本社を併設する穴水駅の施設も大きく損傷し、電話や通信設備も使えない中、駅に停車している気動車車両を仮事務所として使用するなど対応に追われました。

自力での被害の把握が困難な状況を受けて国土交通省は、鉄道の災害復旧に関する技術的なノウハウを持つ「鉄道災害派遣隊(RAIL-FORCE)」をのと鉄道に派遣するよう鉄道・運輸機構に要請しました。1月9日(火)・10日(水)の2日間、7名のRAIL-FORCEに加えて国交省の「緊急災害対策派遣隊(TEC-FORCE)」5名も出向いて被害状況の調査を行いました。

復旧着手をさらに支援するため、1月18日(木)からは3名のTEC-FORCEがのと鉄道に派遣され、常駐して連絡や調整の業務を担っています。1月19日(金)には国交省の北陸信越運輸局と鉄道事業者による連絡調整会議が開かれ、運行を担う第二種鉄道事業者ののと鉄道と、線路設備の保有者である第三種鉄道事業者のJR西日本が密接に連携して復旧を進めていくことで合意しました。

復旧工事の計画策定や作業はJR西日本が主体となって行い、当面は和倉温泉駅〜能登中島駅間(11.2km)の運転再開を目指して工事を急ぎます。運転再開の目標は、JR西日本管轄の七尾駅〜和倉温泉駅間と同時期の2月中旬です。能登中島駅以北の復旧計画については、復旧工事の進捗を踏まえて改めて公表するとのことです。

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