広島限定の交通系ICカード「PASPY」終了へ 広島電鉄は新方式を開発 ICOCAへの合流も

PASPY運営協議会は、2008年1月26日からサービスを続けてきた交通系ICカード「PASPY(パスピー)」のサービスを終了することを決めました。

広島電鉄800形電車(もじゃ/写真AC)
広島電鉄800形電車(もじゃ/写真AC)

PASPYは広島県内の主要な路線バス、路面電車、新交通システムで共通利用できるICカードです。車載器や自動改札機にタッチするだけで乗り降りでき、乗車ごとの運賃割引(最大10%)や乗継割引などPASPYならではのおトクなサービスも提供されています。

PASPYのサービスは2025年3月までに順次終了する予定です。協議会によると今後、機器の老朽化による更新に多額の投資が見込まれており、システム維持が困難になっていることをサービス終了の理由としています。

これまでPASPYの導入・運営において主幹事となっていた広島電鉄は、日本電気(NEC、東京都港区)、レシップ(岐阜県本巣市)と共同でPASPYに代わる新たな乗車券システムの開発に着手します。利用者自身のスマートフォンに表示させたQRコードを車載器にかざすことにより乗車・降車ができるサービスで、PASPYの各種割引サービスは新システムにも実装される予定とのことです。スマートフォンをお持ちでない方向けに、これまでと同様タッチして乗降車できる新たな交通系ICカードも用意されます。システム開発はNEC、車載器の開発はレシップが担当し、広島電鉄は運賃収受やシステム運営に関するノウハウ提供を行います。

QRコードやICカードの固有ID番号が認証媒体となり、クラウドサーバーに保持された各利用者のチャージ残高、定期券などの情報を呼び出して利用する「ABT(Account Based Ticketing)方式」と呼ばれる乗車券システムとなります。定期券への対応や、複雑な割引制度に対応したABT方式による乗車券システムの商用化は日本で初めての発表となります。

ABT方式ではデータの参照・更新はクラウド側で行われるので、車載器などの機器側では高速な計算処理を行う必要がなく、システム全体の費用が抑えられるメリットがあります。また、認証媒体の種類を多様化することで他の交通手段や街なか、旅先などでのサービス連携も期待できるとのことです。

【図表で解説】PASPY運営協議会 交通系ICカード「PASPY」のサービス終了を決定

一方で、PASPY導入事業者の一つで新交通システム「アストラムライン」を運営する広島高速交通は、自社で交通系ICカード「ICOCA」を新たに発売することでJR西日本と合意しました。PASPYエリアでは現在もICOCAを含む全国相互利用に対応した交通系ICカードの利用は可能ですが、2024年度から広島高速交通による「ICOCA」(大人・小児)、「ICOCA定期券」の発売が始まる予定です。連絡定期券の導入や、その他ICOCAサービスの拡充についても検討中とのことです。

広島高速交通は、広島エリア在住者の鉄道利用の利便性向上はもとより、観光やビジネスで広島を訪れる方にも便利なサービスを提供したいとコメントしています。

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