運賃に10円加算 バリアフリー料金制度導入 JR東日本が東京圏で ホームドア整備加速へ

JR東日本はホームドア整備など駅のバリアフリー化を加速するため、東京圏の鉄道利用者から上乗せ料金を徴収する新制度を導入します。

中央・総武線各駅停車のホームに設置されたホームドア(fujikiseki1606/写真AC)
中央・総武線各駅停車のホームに設置されたホームドア(fujikiseki1606/写真AC)

これまでJR東日本管内では、国や地方自治体の協力を得ながらハード・ソフト両面でバリアフリーに関する取り組みが行われてきました。国などが定める整備対象駅に対し、段差解消設備(エレベーター・スロープ)は94.4%にあたる485駅、バリアフリートイレは95.6%の475駅に設置されています。

東京圏の在来線で設置が進められているホームドアについては、2021年度末時点で線区単位の92駅・183番線に整備済みです。今後の目標としてこれまで、2032年度末頃までに東京圏で線区単位330駅へ整備するにあたり、主に使われる線路側にあたる660番線程度(1駅あたり2番線)への設置を優先すると計画されていました。しかし、国のバリアフリー化目標が引き上げられ整備がさらに急がれることから、主要な線路側以外を含む758番線へと対象が積み増され、整備時期は1年前倒しの2031年度末頃までとするよう目標が修正されました(ホームドア整備区間の路線図は下図を参照)。

これまでに要した累計のバリアフリー化費用は約2500億円(うち、ホームドアは約1200億円)ですが、ホームドア整備が本格化する今度の設置費は4200億円(うち、ホームドア4100億円)を超えると見込まれています。これらの整備を進めたいJR東日本は、国が創設した「鉄道駅バリアフリー料金制度」を活用することを決め、2022年4月5日(火)に国土交通省へ料金設定と整備計画の届出を行いました。

2023年3月頃から実施予定で、東京圏の「電車特定区間」のみの利用を対象に、普通運賃(大人)に一律10円の料金が加算されます(電車特定区間の路線図は下図を参照)。通勤定期に対しても、現在の定期運賃の平均割引率に応じた料金上乗せが行われます。なお、家計負担への配慮から通学定期運賃は加算の対象外となります。徴収した料金はバリアフリー設備の整備費に充当されます。

【路線図で解説】JR東日本 東京電車特定区間に「鉄道駅バリアフリー料金制度」適用へ

国の「第2次交通政策基本計画」では、新型コロナウイルス感染症の影響で交通事業者の収益が悪化している中、継続的に必要となる設備投資に対する財源確保がテーマに掲げられています。鉄道駅のバリアフリー化推進は「高齢者や障害者だけでなく、すべての利用者が受益する」との観点から、都市部では「利用者の薄く広い負担」を得る枠組みをつくり、バリアフリー化を従来より大幅に加速させる方向性が示されました。

この考えを踏まえ、利用者が過度の負担を感じない範囲であることを条件に、国交省への届出により導入できるバリアフリー料金制度が2021年12月改正の鉄道事業法に加えられました。都市部で行われた事前のアンケートでは、1乗車につき最大10円までの上乗せなら約6割の鉄道利用者が「妥当」であると回答しています。

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