超閑散ローカル線「ダイヤ改善」で盛り返せるか? 芸備線に観光客向け臨時列車 広島から快速が直通運転

JR西日本は、芸備線のなかでも利用客が特に少ない備中神代駅〜備後庄原駅間を対象に、2025年7月から土休日に臨時列車を運行する実証事業を実施します。

全国初の「再構築協議会」で検証

岡山・広島県境をまたぐ山間部を走る同区間は、2023年度における1日の平均通過人員が一部区間で20人、多い区間でも80人台と全国のローカル線の中でも極めて少なく、JR発足の1987年と比較して約9割も減少しています。JR西日本は岡山県・広島県と沿線2市(岡山県新見市・広島県庄原市)に対して持続可能な交通体系についての話し合いを要請し、改正地域交通法に基づく全国初の再構築協議会が2024年1月に設置されました。

協議会はこれまでに沿線住民や来訪者へのアンケート、地域団体などへの聞き取りを行っており、その結果を踏まえてアイデアを出し、地域への経済効果を検証する実証事業を行います。この区間では観光利用の多い10時〜12時頃の時間帯に定期列車が設定されておらず、ダイヤの穴を埋める臨時列車を7月19日(土)〜11月24日(月・祝)までの土日祝日に計45日間、備後落合駅(庄原市)を境とする2つの区間でそれぞれ1往復運転して検証を行います。

沿線住民は「夕方」列車を希望

新見駅(新見市)を10:24(8月17日(日)は10:29)に出発する臨時列車は備後落合駅に11:57(8月17日(日)は12:02)に到着し、折り返して備後落合駅(12:20発)から新見駅(13:58着)へと戻ります。一方、広島駅からは、三次駅止まりの定期快速列車(9:07発)を延長運転する快速「庄原ライナー」が備後落合駅(11:54着)まで乗り換えなしで結び、復路も備後落合駅(12:08発)から広島駅(15:09着)まで直通運転します。臨時列車にはキハ120系車両(新見側は1両編成、広島側は2両編成)が使用され、備後落合駅では両方向ともに臨時列車同士での乗り継ぎができます。

沿線市では、臨時列車の到着に合わせたジャンボタクシーなど二次交通の運行や、駅周辺でのイベント開催を計画し、芸備線の観光利用定着を図ります。協議会は並行して、沿線住民の希望が多い夕方時間帯への列車設定も検証したい考えで、JR西日本は詳細が決まり次第発表するとしています。これらのダイヤ改善にかかる費用、約4600万円は7月に開催される第4回協議会で予算承認される見込みで、その効果として地域に8100万円の経済波及を生み出すと試算されています。

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