北海道に新観光列車「スタートレイン計画」進捗どうなってる? 改造を阻む想定以上の腐食見つかり「赤い星・青い星」導入は1年遅れ

新たな観光列車を運行して地域を活性化させる「スタートレイン計画」の準備を進めているJR北海道は、「赤い星」「青い星」2つの編成の導入時期と運行エリアを決定しました。

2027年2月と6月にデビュー

JR北海道が所有している「SL冬の湿原号」「ノロッコ号」など既存の観光列車の老朽化が進んでいることから、車両や運行体系、サービスなどを刷新した新しい観光列車を運行する計画を2024年4月に始動しました。全国で多くの車両デザイン実績を持つドーンデザイン研究所の水戸岡鋭治さんをデザイナーに迎え、クルーズ列車としても運行可能な豪華で上質なサービスを楽しめる観光列車を製作し、地域との連携を深めて北海道を活性化しようという取り組みです。

一般気動車キハ143形を改造して「赤い星」「青い星」各4両編成を2026年春から夏にかけて運行開始する計画でしたが、経年40年を超えた実際の車体は想定以上に腐食や歪みがあり、修繕にさらなる時間を要することが判明しました。発表された新しいスケジュールによると、赤い星編成は函館本線・石北本線の札幌駅~網走駅間を皮切りに2027年2月から運行を開始します。一方の青い星編成は、富良野線の旭川駅・美瑛駅~富良野駅間で2027年6月から運行開始するとのことで、当初計画よりおおむね1年遅れでのデビューとなります。

「ノロッコ号」は1シーズン“延命”

車両デザインは「生涯心に残る鉄道の旅を提供する」というビジョンを具現化する方向で検討が進んでおり、両編成とも種車の外形を活かしつつ、星形のエンブレムやマークを取り付けて高級感を演出します。北海道開拓使のシンボルである「赤星」をイメージしたラグジュアリークラスの赤い星編成は、内装に木材をふんだんに使用し、畳敷きの床でくつろげる2人用個室のほか、サロンやラウンジ、セミコンパートメントが設けられます。赤い星編成は2027年4月下旬から雄大な釧路湿原を眺められる釧網本線の釧路駅~知床斜里間で運行し、7月下旬からは旅行会社が主催する貸切列車として道内各地をクルーズ運行します。

富良野線沿線のラベンダーや「青い池」をイメージした青い星編成は、プレミアムクラスの内装として木材を使用した腰掛や4人掛けボックス席で構成され、大きな窓から風景を楽しめる展望室も各号車に設置されます。2028年1月からの冬季運行では、オホーツク海の流氷を至近距離で望める釧網本線の網走駅~知床斜里駅間を走行します。なお、2025年度の運行をもって引退が予定されていた「くしろ湿原ノロッコ号」「富良野・美瑛ノロッコ号」については、新観光列車の導入遅れに伴い、2026年度に限り運行を継続することが決まっています。

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