JR東海は2023年3月18日(土)にダイヤ改正を実施し、高山本線特急「ひだ」の全定期列車を新型車両「HC85系」に統一するほか、高山本線・参宮線で普通列車の運転時刻を見直します。
キハ85系が残る「南紀」も…
HC85系は、ディーゼルエンジン1台と蓄電池が動力源となり、備え付けられた電動機を介して台車を動かすハイブリッド方式が採用されています。蓄電池は回生ブレーキで発生した電力により充電され、加速時にはエンジン発電を蓄電池がアシストすることにより高速走行を実現します。駅停車時はアイドリングストップ機能によりエンジンが停止し、燃費向上と環境負荷の低減につなげています。
2022年7月に特急「ひだ」としてデビューして以降、増備が進められ、今回のダイヤ改正ですべての定期列車がHC85系で揃えられます。追加投入される「ひだ」14本には、大阪駅発着の「ひだ25・36号」も含まれ、HC85系が初めて京阪神エリアでの営業運転を開始します。
エンジン2台の出力で走行する従来方式の「キハ85系」気動車は、2023年3月17日(金)をもって高山本線での定期運行を終了します。なお、85系は紀勢本線の特急「南紀」として運行が続けられますが、同特急にもHC85系の導入が拡大し、7月1日(土)にすべての定期列車が置き換えられる予定です。
車両置き換えと同時に、ダイヤの利便性向上も図られます。名古屋駅9時台発の「ひだ5号」(大阪駅発「ひだ25号」を併結)は途中の停車駅が少ない速達タイプに変更され、名古屋・大阪方面から高山駅までのそれぞれの所要時間が10分短縮します。一方、現行ダイヤで速達タイプの名古屋駅7時台発「ひだ1号」は停車駅が増やされ、高山駅発の「ひだ16・18号」も一部の停車駅が見直されます。
これらの変更により、名古屋・岐阜方面から飛騨萩原駅・飛騨小坂駅など、速達タイプの「ひだ」が停車しない駅まで利用する場合、目的地での滞在時間が広がります(ダイヤ改正前後の特急「ひだ」の停車駅比較、新設される高山本線普通列車の運転時刻など詳細は下の図表を参照)。
特急が通過する駅も便利に
現行ダイヤで高山本線の普通列車は、下呂駅〜高山駅間の上下線でお昼前後の運転間隔が約4時間30分〜5時間30分開いています。ダイヤ改正により、この時間帯に普通列車が上下各1本新たに設定され、運転間隔が約2時間10分〜3時間程度に改善されます。
また、上述の停車駅見直しにより特急「ひだ5・25号」は下呂駅〜高山駅間が途中ノンストップとなりますが、下呂駅で新設される普通列車に乗り換えることにより途中駅へ行くことができます。
一方で、早朝・深夜時間帯の下呂駅〜高山駅間では、一部の駅を通過している上下各1本の普通列車が削減され、駅によっては始発列車の繰り下げ、最終列車の繰り上げが発生します。また、高山本線では通過運転する普通列車がなくなり、すべて各駅停車に統一されます。
JR東海管内ではそのほか、参宮線で早朝時間帯のダイヤが見直されることにより、伊勢市駅〜多気駅間の上り始発列車が約37分繰り下げられます。