岐阜のローカル私鉄3社が乗車券を相次いでデジタル化 「運賃箱」の老舗メーカーも参入

長良川鉄道、養老鉄道、明知鉄道の岐阜県内鉄道事業者3社が1日乗車券などをデジタル化し、スマートフォン一つで利用できる仕組みを整えています。

関駅に停車中の長良川鉄道ナガラ300形気動車(源五郎/写真AC)
関駅に停車中の長良川鉄道ナガラ300形気動車(源五郎/写真AC)

長良川鉄道は、2021年4月1日(木)にモバイル版「長良川鉄道1日フリー乗車券」を発売開始しました。レシップ(岐阜県本巣市)が提供するスマホ乗車券購入アプリ「QUICK RIDE」の導入により実現したものです。アプリをインストールし、事前登録を済ませた後、乗車券を選択してクレジットカード決済で購入します。降車時にスマートフォンの乗車券画面を運転士に提示することにより列車を利用することができます。

おねだんは紙の「1日フリーきっぷ」と同額の大人2,700円、小児1,350円です。複数人分をまとめて購入し、グループで利用することもできます。長良川鉄道では、これまで有人駅の窓口営業時間内にしか購入できなかったフリーきっぷをスマートフォンからいつでも購入できるようになることで、利便性が向上するとしています。

長良川鉄道ではそのほか、「QUICK RIDE」の定期券機能を利用した「スマホ定期券」を4月14日(水)から発売します。通勤1か月・3か月・6か月定期券をアプリ上でクレジットカードにより購入すると、紙の定期券の代わりにスマートフォン画面が定期券になる仕組みです。越美南線のすべての区間の定期券を発行できます(通学定期および各種割引定期は対象外)。スマートフォンアプリを利用した定期券機能は、東海地方では長良川鉄道が初めての導入事例となります(詳細は下図を参照)。

「QUICK RIDE」のモバイル乗車券で全国導入第1号となったのは、同じ岐阜県を走る養老鉄道です。2020年10月16日に「養老鉄道1日フリーきっぷ(モバイル版)」(大人1,500円、小児750円)の発売を開始しました。先着3,000名限定の「お試しキャンペーン」として通常より安い大人1,000円、小児500円のキャンペーン価格で発売し、モバイル利用を周知する取り組みも行っています(キャンペーンはすでに終了)。

レシップは、全国の路線バスや列車に備え付けられている整理券発行機、運賃収受器(運賃箱)、乗客案内装置などの製造元として知られています。機器の供給により交通事業者との結び付きが強い同社は、将来的に全国のバス・鉄道のモバイルチケットを取り扱いたいと意気込んでいます。新型コロナウイルス感染症拡大によるキャッシュレス・非接触ニーズの高まりを受け、乗車券のモバイル化が大きなトレンドとなっている中、老舗メーカーがどこまで存在感を示せるかにも注目が集まります。

【図表で解説】岐阜県内の鉄道事業者がモバイル乗車券を発売

岐阜県内ではそのほか明知鉄道が、二次交通のデジタル化を進めるベンチャー企業RYDE(東京都渋谷区)が手がける乗車券アプリ「RYDE PASS」を導入し、全線1日乗り放題のモバイル乗車券「あけてつ乗ってみて! フリー切符」を発売しています。発売期間は4月3日(土)〜5月30日(日)限定で、おねだんは大人1,000円、小児500円です。決済方法はクレジットカードのほか、Google Pay、Apple Payが利用できます。複数人数分のまとめ購入にも対応しています。