スマホと連動 駅サインが“自分専用の案内板”に 「うめきた新駅」世界初のホームドアも

JR西日本は、技術ビジョンを具体化する未来駅として位置づけている2023年春開業予定の「うめきた(大阪)地下駅」において、導入のめどが立ったシステムの具体例を発表しました。

うめきた2期地区で行われているうめきた(大阪)地下駅の建設現場(unaju/写真AC)

表示が都度変わる案内サイン

大阪駅北側の再開発エリア「うめきた2期地区」では、まちづくりと一体化して東海道線支線の梅田信号場(旧梅田貨物駅)を地下化する工事が進められています。新たに開設されるうめきた(大阪)駅には特急「はるか」「くろしお」などが乗り入れ、改札内地下通路を介して地上の大阪駅との乗り換えが可能な構造となります。

JR西日本は、さまざまなパートナーとともに新たな価値を創造する取り組み「JR WEST LABO」を2022年3月に始動しました。うめきた(大阪)駅を実験場とし、デジタルとリアルをかけ合わせることで社会や経営上の課題を解決していく方向性が示されていましたが、開業まで1年を切り、新たな技術やサービスの具体的なイメージが明らかになりました。

駅での情報提供手段の一つである「駅サイン(案内板)」は、利用客の動きとニーズに合わせて表示内容が変化する「デジタル可変案内サイン」に進化します。個々の利用者のスマートフォンなどで事前に目的地を登録すると、一人ひとりに振られる専用マークを目印に、行きたい方向へナビゲートしてくれる「自分専用の行き先案内」が駅サインに連続的に表示されます。

また、大勢の利用客向けのサインは、時間帯別・曜日別や列車の到着・発車のタイミングに応じ、利用動向に合わせて表示内容がフレキシブルに変わります。運行情報などのシステムと連携し、壁面やホームドアに設置されるサイネージを活用してさまざまな種類の列車に合わせた案内が行われます。災害時には避難経路などの表示にも対応しており、これまでにないインタラクティブな案内情報システムによる利便性向上を期待しているとのことです(デジタル可変サインのイメージは下の図表を参照)。

【図表で解説】JR西日本 2023年春開業「うめきた(大阪)地下駅」に新システムを導入

「なにわ筋線」も見据えた全面ホームドア

4線に面した2つの島式ホームが設けられるホーム階には、あらゆる車種や編成の乗降口に対応した世界初の「フルスクリーンホームドア」が導入されます。2031年開業予定のなにわ筋線の計画では、JR西日本だけでなく南海電気鉄道も含めたさまざまなタイプの車両の乗り入れが見込まれています。これを見据えると、現在展開中のホーム柵や、各メーカーで開発中の新型ホームドアでも対応が困難なため、開口部を自在に構成できるホームドアが新たに開発されました(フルスクリーンホームドアのイメージは上の図表を参照)。

ホーム空間を広く取るため配線・駆動部は上部にまとめられ、スリム化された扉部分に設置されるサイネージもデザイン性に配慮されたものになります。安全面では、モーターの負荷検知機能や各種センサーがホームドアと人との接触や挟まれ、列車とホームドア間の人の残留を検知します。なお、緊急時には非常ボタンにより乗客自身が手動でホームドアを開け、脱出を可能とする構造になるとのことです。