最終新幹線に接続 LRT「ライトライン」ダイヤ 宇都宮駅から“ベルモール”へ初乗り150円

LRT(次世代路面電車)として新規開業する宇都宮芳賀ライトレール線(通称「ライトライン」)の運行を担う宇都宮ライトレール(本社:栃木県宇都宮市)は、営業運転開始後の運行ダイヤと運賃を公表しました。

芳賀宇都宮ライトレール線「ライトライン」の車両基地を出庫する試運転中の宇都宮ライトレールHU300形電車(Katsumi/TOKYO STUDIO)
宇都宮芳賀ライトレール線「ライトライン」の車両基地を出庫する試運転中の宇都宮ライトレールHU300形電車(Katsumi/TOKYO STUDIO)

開業日はLRTと一緒に行進する「パレード」開催

ライトラインは2023年8月26日(土)の開業に向け、「宇都宮駅東口停留所」から「芳賀・高根沢工業団地停留所」までの全区間で習熟運転が行われています。まったくの新規路線としてLRTが建設されるのは日本で初めてで、LRTを軸とした「ネットワーク型コンパクトシティ」を目指す宇都宮市のまちづくり戦略も注目を集めています。

全体計画に対する「優先整備区間」として開業を目前に控えているのは、宇都宮駅より東側に点在する工業団地や学校などを結ぶ全長14.5kmのルートで、全体の約6割が自動車との併用軌道区間です。3車体連接で全長約30m、定員160人の低床式車両が17編成導入され、通勤・通学客をメインに1日あたり約16,000人の利用が予測されています。

下野新聞の報道によるとホンダ(本田技研工業)は、通勤・出張者向けに同社が運行している、芳賀工業団地(芳賀町)の研究・開発拠点と宇都宮駅とを結ぶ送迎バスについて、ライトライン開通後の9月1日(金)から廃止することを決めました。従業員にLRTを利用してもらうことで渋滞の緩和につながることを期待しているとのことで、沿線にあるほかの企業などにも同様の動きが広がりそうです。

開業日の8月26日(土)は開業式や出発式のほか、宇都宮駅東口から約200mの軌道沿い道路で記念イベント「ライトラインパレード」が開催されます。11:40から約30分間、多くの寄せ書きを掲げるフラッグ隊がLRT車両とともに先頭に立ち、プロのパフォーマーや地元高校生たちも参加して開業を祝福します。沿道からの観覧は自由ですが、状況によっては入場規制を行う場合もあるとしています。

なお、当日は特別な「開業日ダイヤ」による運行で、15時頃に発車する電車から一般利用ができる予定です。

(LRT「ライトライン」の運行ダイヤと始発・最終電車の時刻表、普通・定期運賃表など詳細は下の図表を参照)

【時刻表で解説】LRT「ライトライン」の運行ダイヤと始発・最終電車の時刻表、普通・定期運賃表

ピーク時8分、日中は12分間隔

翌日以降は通常ダイヤで、営業時間帯は平日が朝4時台〜深夜0時台、土日祝日は朝5時台〜深夜11時台となっています。朝夕ピーク時は約8分間隔で1時間あたり7〜8本、その他の時間帯や土日祝日は約12分間隔で1時間あたり5本の運転が基本となります。全線通し運転以外に、車両基地のある平石停留所で始発・終着となる便や、途中のグリーンスタジアム前停留所で折り返す便もあります。

下り最終電車の平石行は宇都宮駅東口23:46発(平日・土日祝日とも)で、東京駅を22:44に発車する最終の東北新幹線「なすの281号」(宇都宮駅23:37着)から乗り換えることができます。終点の芳賀・高根沢工業団地まで行く最終電車はこれよりかなり早い設定で、宇都宮駅東口を23:01(土日祝日は22:35)に出発します。

各停留所に停車する普通電車の所要時間は約44分と見込まれていますが、当面の間は「運賃収受などに時間を要する」ことを考慮し、起点から終点まで48分かけて走行します。また、一部停留所を通過する快速電車の運行も想定されていますが、開業当初は設定されません。運行会社はより利便性を高められるよう、2024年春に予定しているダイヤ改正で見直しを検討しているとのことです。

ライトラインの運賃ですが、初乗り150円から400円まで、50円刻みの対キロ区間制運賃とする国土交通省関東運輸局への申請が認可されました。1か月定期運賃の割引率は通勤定期が37%、通学定期は47%です。通常運賃の5割引となる小児割引、障がい者割引の届出も行われています。

運賃の支払いには「Suica」「PASMO」など交通系ICカードの利用が可能となります。宇都宮地域交通ICカード「totra」での利用に対して、路線バスや地域内交通で展開している「乗継割引」などのサービス適用も検討されています。現金利用の際は、停留所に設置される発行機で整理券を受け取ってから乗車する方式がとられます。

複合施設「ベルモール」の最寄りにある「宇都宮大学陽東キャンパス停留所」までの普通運賃は、宇都宮駅東口からなら3km以内の初乗り区間にあたるため、大人150円・小児80円です。この初乗り運賃は全国的に見ても安価な設定です。公設の上下分離方式で運営するため建設費償還の必要がないことから、「公共交通として誰もが利用しやすい」低廉な運賃額を実現できたとのことです。

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