「新モビリティ」川崎を走る 臨港バスが実証実験 AI交通が“無料” 産業道路では自動運転

国が主導する地域交通の実証実験プロジェクトに応募し、採択された川崎鶴見臨港バス(本社:川崎市)は、川崎市川崎区内で新しい輸送サービスの実証実験を2023年10月から始めます。

川崎鶴見臨港バスが実証実験に使用する、埼玉工業大学が開発した自動運転バス車両(画像提供:埼玉工業大学)
川崎鶴見臨港バスが実証実験に使用する、埼玉工業大学が開発した自動運転バス車両(画像提供:埼玉工業大学)

リクエストに応じて運行ルートをAIが判断

人口減少や新型コロナウイルス感染症の流行など、厳しい環境下の公共交通を維持・活性化していくことを目的に、国土交通省は「共創モデル実証プロジェクト」の実施を全国から募っています。交通事業者と地域住民や企業、行政などが連携することが条件で、暮らしに関わる交通サービスを実証運行する取り組みに対し、国が最大で1億円の経費を補助するというものです。

川崎市の中心市街地や臨海工業地帯を含む川崎区の路線バスは主に、川崎駅から海側へと放射状に伸びる路線網で構成されています。その反面、路線網を南北に縦断する地域交通は少ないのが現状です。バス事業者の運転士不足も深刻で、地域住民の公共交通に対するニーズへの対応が難しくなってきていると言います。

このような地域課題の解決に向け、臨港バスを代表幹事として「2023KAWASAKI新モビリティサービス実証実験」が行われます。共創パートナーとして市・区のほか、地域の福祉や医療、商業、イベントなどに関わる運営者や、エリア内の調整役としてタクシー協会も名を連ねています。協議会を組織し、利用者の外出ニーズを一体で把握しながら、持続可能な地域交通モデルの確立を目指します。

臨港バスは2023年3月、主要幹線の川崎駅〜水江町間に連接バスを使用したバス高速輸送システム「KAWASAKI BRT」を導入しました。今回は川崎区の一部エリアを対象に、小回りの効くワゴン車両によるAIオンデマンドバス「のるーとKAWASAKI」の実証運行を実施します。

AIオンデマンドバスとは、利用希望者のリクエストに応じて運行ルートをAI(人工知能)が適宜設定し、待ち時間や乗車時間の短縮を図りながら運行する乗合型のサービスです。ネクスト・モビリティ(本社:福岡市)が提供する、西日本鉄道などで採用実績のある「のるーと」のシステムを使用し、三菱商事(本社:東京都千代田区)が後方支援を担当します。

(川崎鶴見臨港バスが実証運行するAIオンデマンドバス・自動運転バスの車両イメージなど詳細は下の図表を参照)

【路線図で解説】川崎鶴見臨港バスが実証運行するAIオンデマンドバス・自動運転バスの車両イメージ

事前予約すれば「コストコ」でも乗降可能

運行期間は10月2日(月)〜12月15日(金)で、日曜・祝日を除く8:00〜18:30の時間帯に利用できます。事前に「のるーと」専用アプリまたは公式LINEから会員登録を済ませ、乗降場所を選んで配車予約してから利用します。

指定できるミーティングポイントは、川崎区の住宅地エリアを中心に合計51か所設定されています。京急大師線の川崎大師駅や大師橋駅、「コストコホールセール川崎倉庫店」「イトーヨーカドー川崎店」などの商業施設をはじめ、金融機関や郵便局、行政施設、病院などでの乗り降りが可能です。

今回の実証期間中、「のるーと」には運賃無料で乗車できます。輸送力の大きいBRTなどの基幹バス路線との結節や、バス路線のない縦串方向の移動需要を模索しながら、より身近な地域交通として将来の社会実装を目指したい考えです。

川崎の大動脈である産業道路では、10月23日(月)〜27日(金)の5日間、川崎市内では初めてとなる大型バスを使用した自動運転バスの実証運行が行われます。運転士が乗車し、状況に応じて自動・手動を切り替える「レベル2」での実施で、まずは乗務員の負担軽減を目指します。将来的には、一定の条件下でシステムがすべての運転操作を行う「レベル4」での運行を想定しているとのことです。

自動運転バスは塩浜営業所〜大師橋駅間を1日6往復しますが、技術検証を目的としており、一般の利用者は乗車できません。高精度3次元地図で運行を支えるアイサンテクノロジー(本社:名古屋市)、自動運転のサービス実装を支援するA-Drive(本社:横浜市)、遠隔監視システムの東海理化(本社:愛知県大口町)、車両技術を提供する埼玉工業大学(埼玉県深谷市)などが事業パートナーとして参画します。

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