春の大型観光キャンペーン「福岡・大分デスティネーションキャンペーン(DC)」の開催に合わせ、JR九州は久大本線(ゆふ高原線)で特急「かんぱち・いちろく」の運行を新たに開始します。
ラウンジに「杉の一枚板カウンター」
久大本線の全線開通を強く推し進めた舟来屋(現在の八鹿酒造)三代目の麻生観八、経由地の選定に深く関わった旧大分県農工銀行頭取の衞藤一六という、二人の名前が列車名の由来となっています。ベースの車両は肥薩線を中心に運行してきたキハ47形「いさぶろう・しんぺい」2両と、ローカル線用のキハ125形1両で、2023年10月から小倉総合車両センターで改造工事が行われてきました。
デザイナーには鹿児島市のIFOO(イフー)がJR九州のD&S列車(観光列車)として初めて起用されており、注目されていた車両デザインやロゴマークなどが初めて明らかになりました。
黒が基調の外観は沿線の景色が写り込むほど艶があり、車両全体で雄大な風景を表現するようデザインされています。車体には久留米駅から大分駅までの路線図をモチーフにしたゴールドライン、上下にはゆふ高原線の駅名によるエッジラインが描かれています。沿線の由布岳や川をイメージしたロゴマークは、それぞれが列車名に登場する数字「八」「一」「六」に見える工夫が施されています。
3両編成の列車は定員60名の全車グリーン席で、2名用から6名用まで選べるボックス席、座り心地を重視したソファ席のほか、子ども連れやグループ利用に適した「畳個室」も備えています。1号車は大分・別府エリアの火山や温泉をイメージした赤色、3号車は福岡・久留米エリアの平野や山々を連想させる緑色がベースカラーで、テーブルにはそれぞれ大分・福岡県産の杉が使用されています。
また、2号車は乗客の共用スペースとして自由に過ごせる「ラウンジ杉」で、由布院・日田エリアの風土がデザインされています。車両中央を貫く樹齢約250年の杉の一枚板カウンターがシンボルで、天井には日田の盆地を包み込む自然現象「底霧」をイメージした装飾が施されています。ビュッフェの営業も行われ、沿線の飲食物やオリジナルグッズの販売も予定しているようです。
(特急「かんぱち・いちろく号」の車内レイアウトとイメージ、運転時刻、旅行代金など詳細は下の図表を参照)
沿線食材の食事付きでお値段は?
運転区間は博多駅〜由布院駅・別府駅間で、車内で沿線の食事を楽しみながら片道5時間弱のゆったりした移動を楽しむ旅行商品として販売されます。列車名は方向により異なり、毎週月・水・土曜の博多駅発は特急「かんぱち号」、火・金・日曜の別府駅発は特急「いちろく号」として運転します。運転開始日は2024年4月26日(金)で、別府駅から「いちろく号」として博多駅へ向かいます。
博多駅からの「かんぱち号」車内では沿線の食材を使った食事が提供され、曜日により異なる福岡市の和食やイタリア料理の名店が手掛けます。駅舎がカッパの形をしているユニークな田主丸駅、麻生観八ゆかりの八鹿酒造の最寄り駅である恵良駅で沿線の方からのおもてなしを受けながら由布院駅・大分駅・別府駅へと向かいます。
別府駅・大分駅・由布院駅から乗車できる「いちろく号」も曜日ごとに食事が異なり、こちらは大分市に店を構えるフレンチや和食の料理人が監修しています。天ケ瀬温泉の手湯・足湯がある天ケ瀬駅、四季折々のフルーツを楽しめるうきは駅でおもてなしが用意されています。「いちろく号」では博多駅のほか、途中の久留米駅での降車が可能です。
JR九州が企画する運転日の旅行商品は「かんぱち・いちろく」専用サイトで3月7日(木)11時から発売されます。一人あたりの食事込みの旅行代金(大人)はソファ席・ボックス席が1万8千円、畳個室が2万3千円で、1万円の追加料金を支払えば2名用ボックス席をお一人で利用することもできます。そのほか、各旅行会社が企画して個別に販売する運転日も設定される予定です。
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