山形新幹線「E8系」車両故障の原因は“過電流” 機器の設定を見直し運用復帰へ 8月1日からほぼ通常ダイヤに回復

JR東日本は、2025年6月17日(火)に山形新幹線「E8系」車両で発生した車両故障の調査結果を公表し、今後の対策と運転計画を明らかにしました。

「電流の違い+気温」が引き金

この日は東北新幹線の宇都宮駅~那須塩原駅間を走行中の回送列車を含めて4編成のE8系で車両故障が発生し、合わせて6台の補助電源装置で半導体素子の損傷が確認されました。さらに、6月30日(月)には東京都の車両基地に留置していた別のE8系1編成でも補助電源装置1台の故障が見つかっています。車両の各機器に電力を供給する補助電源装置は電力を変換する半導体素子と、それを制御する基板で構成されており、その組み合わせに着目して調査が続けられてきました。

その結果、特定の時期以降に製造された半導体素子では、従来の補助電源装置より大きな制御電流が流れることがわかりました。基板に想定より大きな電流が流れることで周囲の温度が上昇し、暑さによる温度上昇も重なり、保護素子が誤って動作したことにより制御電流が遮断されます。正常に制御できなくなった半導体素子に過大な電流が流れたことにより素子の損傷が発生し、主変換装置への電力供給が停止したことで走行不能に陥ったというのが調査の結論です。

5,000円割引クーポンで山形旅行へ

この現象は、2024年6月までに製造された第6編成以前のE8系や、秋田新幹線E6系に搭載されている半導体素子と制御基板の組み合わせでは発生しないとのことです。E8系の補助電源装置への対策として、半導体素子を制御する電流の違いや周囲温度の上昇に対して誤動作しないよう、制御回路の保護素子の設定を見直します。対策を講じた車両については、健全性を確認した上で順次営業運転に復帰します。

現在、中止しているE8系の単独運転を8月1日(金)から順次再開し、山形新幹線の定期列車は通常ダイヤによる運転が再開します(1日(金)に限り一部列車が運休)。臨時列車は8月1日(金)から8日(金)までは本数を一部減らして運転し、9日(土)以降の臨時列車の運転計画については7月28日(月)頃に公表するとのことです。そのほか、JR東日本びゅうツーリズム&セールスを通して山形県での旅行・宿泊に使える5,000円割引クーポンを配布し、運休や減便により停滞を招いた山形への観光誘致を働きかけます。

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