JR東日本は、2024年7月の大雨に伴い運転を見合わせている陸羽東線の鳴子温泉駅~新庄駅間について、2025年9月から被災した線路設備の復旧工事に着手します。
なぜこんなに時間かかった?
宮城・山形両県にまたがるこの区間の被害は、北日本に停滞した梅雨前線がもたらした記録的な大雨の影響によるもので、19箇所で線路への土砂流入や盛土の崩壊などの被害が発生しました。現在もなおバスによる代行輸送を続けており、沿線自治体や経済団体はJR東日本に運転再開を強く要望してきましたが、復旧の見通しが示されないまま1年が経過しました。
復旧を阻んでいたのは、瀬見温泉駅~東長沢駅間で確認された線路脇の山からの大規模な土砂流入です。次に大雨が降ってきた場合に同じような土砂崩れが起きる可能性があるため、周辺の国有林からの土砂災害を防止する対策が示されない限り、JR東日本としては鉄道施設の復旧に着手できないという状況だったわけです。森林管理者である林野庁は2025年5月にようやく緊急治山工事に着手し、発生源である沢筋の上部に土砂をせき止めるコンクリート壁の構築を進めており、12月頃の完成を予定しています。
運転再開見通しは?
国の工事開始を受けJR東日本は、河川の増水や土砂流出があった場合に第三者への影響が大きいと見られる7つの被災箇所について、2025年9月から本格的な復旧工事に着手します。これには、鵜杉駅~瀬見温泉駅間の河川脇で起きた盛土崩壊箇所や、東長沢駅~長沢駅間の盛土崩壊により道路へ土砂が流出した箇所などが含まれ、すでに応急による仮の措置は完了しているとのことです。
これらの工事の進捗により、最上駅~大堀駅間の盛土崩壊箇所を含むほかの12箇所の復旧工事にも順次着手します。そのうち、瀬見温泉駅~東長沢駅間の土砂流入箇所については、国の工事の施工状況を踏まえてJR線内の復旧工事に着手する方針です。なお、運転再開の見通しについては、工事の進捗状況を見ながら改めて告知するとのことです。