東急を代表する名車「青ガエル」が機械遺産に認定 東横線スピードアップを実現した常識破りの“丸っこい車体”

一般社団法人日本機械学会は、歴史に残る機械技術を称える2025年度「機械遺産」に、東急車輛製造(現: 総合車両製作所、横浜市金沢区)が東京急行電鉄(現: 東急電鉄)向けに製造した通勤形電車「5000系(初代)」を認定しました。

ホテル雅叙園東京
35,200円〜(★4.75)
全室サウナ、ジェットバスを完備。80平米以上の広々としたスイートルームをご提供しております。
JR山手線・東急目黒線・地下鉄目黒駅から徒歩で3分。
詳細を見る
(提供:楽天トラベル) Supported by Rakuten Developers

円弧状断面のヒントは「飛行機」

機械遺産は、機械関連技術に関わる技術者、研究者などで構成する同学会が2008年から毎年選定している事業で、日本国内の貴重な機械技術を文化的遺産として次世代に伝えることを目的としています。2025年7月31日(木)、推薦応募があった候補のなかから委員会が選んだ6件が今年度の機械遺産として発表され、その中の第128号遺産として「円弧状車体で軽量化を実現した東急5000系電車」が認定されました。

1954年(昭和29年)から1959年(昭和34年)にかけて105両が製造された5000系の評価ポイントは、円弧状の車体断面で構成された「張殻(はりがら)構造(モノコック構造とも)」です。それまでの四角い箱であった鉄道車体の常識を打破し、車体下部に膨らみをもたせ、上部にかけて幅を狭くするという、車体強度を保ちながら軽量化を実現する独特の車体断面を開発しました。東急車輛の元航空技術者らが丸い筒状の航空機にヒントを得て設計したもので、その斬新さから「翼のない飛行機」、あるいは、全身緑色の塗色と丸っこい形状から連想された「青ガエル」の愛称で親しまれました。

70年ぶりに横浜へ“里帰り”

全鋼製車両ながらも電動車で10トン以上軽量化し「超軽量電車」と称された5000系は、東横線で時速105km走行を開始し、渋谷駅~桜木町駅(当時)間を34分で結ぶ急行列車として主に活躍しました。晩年は大井町線など東急各線に転属され、一部は長野電鉄や福島交通、熊本電気鉄道など地方私鉄へ譲渡されましたが、老朽化が進み各地での営業運転からはすでに引退しています。また、渋谷駅ハチ公口前では2006年から2020年まで、5000系のカット車体が観光案内所として転用されていたのは記憶に新しいところです。

張殻構造による軽量化技術はのちの小田急電鉄の初代3000形「ロマンスカーSE」や、最初の新幹線車両である0系といった名だたる高速列車に採用され、現在でも事実上の標準技術として広く応用されています。機械遺産に認定された5000系の先頭車は東急「デハ5015」として1956年(昭和31年)に新造され、1980年(昭和55年)に長野電鉄へと活躍の場を移したのち、1997年(平成9年)に廃車となった車両です。2022年4月、総合車両が創立10周年記念事業として取得することを発表し、製造から70年近い時を経て生まれ故郷への里帰りを果たしたデハ5015は現在、横浜事業所内で復元作業を受けています。

この記事に関連する路線図をプレビュー

鉄道おでかけニュース 最新記事