代替となるのがインターネット限定の割引きっぷですが、九州新幹線区間については軒並み値上げとなります。当日予約ができる「九州ネットきっぷ」を例にすると、博多駅〜熊本駅間が現行3,670円から2021年4月以降は4,300円へ、博多駅〜鹿児島駅間が現行9,430円から9,900円へと値上げされます。
3日前・7日前までの予約でさらにおトクとなる「九州ネット早割3」「九州ネット早割7」についてもすべて値上げとなります。割引きっぷ全体の上げ幅を見ると、博多〜鹿児島間は約5〜8%ですが、博多〜熊本間は約17〜24%とかなり思い切った価格改定となります。
JR九州は都市間輸送において、ライバルの高速バスと乗客獲得でしのぎを削ってきたことはよく知られています。しかし、今回の割引きっぷ見直しにより、こと博多〜熊本・鹿児島間に関しては2倍近くの価格差がついてしまうことになります。また、各駅停車の「つばめ」利用限定、あるいはJR九州のクレジットカード「JQ CARD」保持者限定といった特割商品も廃止としたことから、九州新幹線は価格面での競争から一線を置くことが鮮明に打ち出されています。
新型コロナウイルス感染症の影響が当分の間続くと見越し、価格競争による消耗戦を避け、新幹線サービスに見合う対価はしっかり頂きたいというのが本音なのかも知れません。今後は、価格は高いけれど所要時間で圧倒的に有利な九州新幹線、多少時間はかかっても安価に移動できる高速バスと、棲み分けの時代に入ることでしょう。
山陽新幹線+日豊本線ルートは無割引に
博多駅〜大分駅間で鹿児島本線〜日豊本線経由の特急列車を利用できる、窓口発売の「2枚きっぷ(指定席)」は存続するものの、小幅ながら値上げされます。当日購入できるきっぷでは価格据え置きの「九州ネットきっぷ」が最安となり、高速バス並みの価格がキープされます。
一方で、山陽新幹線と日豊本線を小倉駅で乗り継ぐルートで利用できる「新幹線往復割引きっぷ」は、きっぷ自体が廃止となります。山陽新幹線経由の経路には割引きっぷの設定がなくなるため、博多〜大分間移動の実質的な選択肢は在来線に絞られることになります。
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