【特集】JR九州「割引きっぷ」見直し 値上げ幅は区間によってこんなに違う

宮崎方面は「B&Sみやざき」に全集中

博多駅〜宮崎駅間は、前出の「新幹線往復割引きっぷ」が廃止となるほか、鹿児島本線〜日豊本線経由の在来線ルート、また九州新幹線と日豊本線を鹿児島中央駅で乗り継ぐルートに設定されていた、窓口発売の割引きっぷが設定終了となります。日豊本線の特急列車はほとんどが大分駅で系統分断され、新型コロナウイルスの影響による減便もあり、博多駅〜宮崎駅間を直通する特急はすでに1往復にまで減らされています。また、鹿児島経由ルートは大回りとなるため価格が不利な上、九州新幹線による時短効果も薄いのが難点です。

窓口・インターネットとも割引きっぷをすべて存続させるのは、九州新幹線と高速バス「B&Sみやざき」を新八代駅で乗り継ぐルートです。乗り換え時間は最小限に設定され、博多駅〜宮崎駅間の所要時間が最速で約3時間と、全区間高速バスの約4時間30分と比べてかなり速達するのがアピールポイントです。

九州新幹線と高速バス「B&Sみやざき」との乗り換え拠点となる新八代駅 ©Katsumi
九州新幹線と高速バス「B&Sみやざき」との乗り換え拠点となる新八代駅 ©Katsumi

乗車日当日まで購入できる「B&Sみやざき2枚きっぷ」「B&Sみやざきネットきっぷ」は約2〜6%の値上げとなりますが、早期割引の「B&Sみやざきネット早割7」「B&Sみやざきネット早割14」は価格が据え置かれています。さらに「B&Sみやざきネットきっぷ」については、これまで設定のなかった途中停留所区間(博多駅〜人吉IC、えびのIC、小林IC、都城北間)にも設定が拡大します。

【路線図で解説】JR九州 割引きっぷ見直し(博多〜宮崎)

新幹線開業を前に無風の長崎方面

割引きっぷの設定が大きく変更となる九州新幹線方面ならびに日豊本線方面とは異なり、大きな変化のないのが佐賀・長崎方面です。一部の区間で「2枚きっぷ」の価格改定や廃止が生じていますが、割引きっぷ全体を見るとほとんど変化がありません。博多駅〜佐賀駅、長崎駅、佐世保駅間とも従来と同様、高速バスと比べても十分な価格競争力があります。

来たる2022年秋には九州新幹線西九州ルートの武雄温泉駅〜長崎駅間が先行開業し、在来線特急列車とは武雄温泉駅で乗り換えが必要となります。これから起こるいろいろな変化を前に、乗客を逃さないためにもあまり施策をいじらない作戦をとっているのかも知れません。

【路線図で解説】JR九州 割引きっぷ見直し(博多〜佐賀・長崎)

追記: 初出時の上表の一部に誤りがありましたので訂正しました。(2021年1月3日10:15更新)

そのほか、長崎、大分、宮崎などの九州各地と関西方面との間を、九州島内特急列車と山陽新幹線の乗り継ぎでおトクに利用できる「京都往復割引きっぷ」「大阪往復割引きっぷ」「神戸往復割引きっぷ」が2021年3月末をもってすべて廃止となります。代替として、インターネット限定の「eきっぷ」「スーパー早特きっぷ」の利用が検討されますが、価格面や事前予約の要否で一長一短があります。往復割引きっぷを愛用していた方には悩みの種となりそうです。

コロナ禍による収益激減を少しでも食い止めるために、手続き上、簡単には変えられない普通運賃や特急料金よりも、手のつけやすい割引きっぷにメスを入れるのは致し方ないところでしょう。大幅値上げでライバルとの争いを捨てざるを得ない区間も出てきたことは意外でしたが、移動需要全体の分け前が緊縮している状況下で、「今までの施策では生き残れない」との思いがにじみ出ているように映る今回の方針転換です。