【特集】九州新幹線と「ソニック」など削減 JR九州3月13日見直し(新幹線・特急篇)

「JR唯一の深夜特急列車」が廃止に

鹿児島本線の門司港駅・小倉駅〜博多駅間をおもに通勤時間帯に運行する特急「きらめき」は、利用者数が対前年比で50%減少し、需要の落ち込みが激しい列車の一つとなっています。3月13日(土)のダイヤ見直しでは、6本の列車が運転取り止めとなります(うち3本は2020年11月1日から運休中)。なお、運転が取り止められる下り「きらめき1号」(小倉駅5:23発・博多駅行)の代替として、早朝に小倉駅発・博多駅方面行の快速列車1本が増発されます。

特急「きらめき」などに使用されるJR九州783系電車
特急「きらめき」などに使用されるJR九州783系電車

廃止される列車の中で特筆すべきは、休前日のみ運転の上り「きらめき22号」(博多駅0:10発・小倉駅行)です。この列車は、始発駅の時点で日付が変わってから出発するJRで唯一の深夜特急で、ナイトエコノミーの繁栄を背景とした福岡地区ならではの設定であったとも言えます。地域性がどうであっても、コロナ禍による行動様式の変化には逆らえないのが実情のようです。

なお、小倉駅発(22:33)・博多駅行の「きらめき」下り1本が増発されますが、これは同時間帯の特急「にちりんシーガイア」が博多駅行から小倉駅行に運転区間が短縮されることに伴い設定される列車で、列車本数の純増というわけではありません。

【図表で解説】JR九州 3月13日ダイヤ見直し 特急「きらめき」

歴史ある「有明」の愛称がついに消滅

平日の朝時間帯に大牟田駅発(6:43)・博多駅行で運転している特急「有明」は、3月13日(土)のダイヤ見直しにより運転が取り止められます。なお、同じ時間帯に大牟田駅発(6:43)・鳥栖駅行の快速列車が新たに運転されます。この快速列車で鳥栖駅まで行くと、佐賀駅発の特急「かもめ102号」博多駅行に乗り換えることができます。

「有明」の名を持つ特急は、最盛期は門司港駅〜西鹿児島駅(現在の鹿児島中央駅)間398.5kmを走破する九州のフラッグシップ列車でした。九州新幹線の開業後は運転本数・区間とも段階的に縮小され、今回の見直しで歴史ある愛称がついに消滅します。

【図表で解説】JR九州 3月13日ダイヤ見直し 特急「有明」

福北ゆたか線経由で直方駅〜博多駅間を運行する特急「かいおう」は、3月13日(土)から下り2本、上り1本の計3本が運転取り止めとなります。いずれも2020年11月1日から運休している列車で、下り列車のうち1本は平日のみ、もう1本は休日のみの運転となっていました。

福岡県直方市出身の当時の大相撲力士、魁皇関から名前を取って2001年にデビューした列車ですが、見直しにより朝の下り、夜の上りの各1本が残るのみとなります。

【図表で解説】JR九州 3月13日ダイヤ見直し 特急「かいおう」

D&S列車「海幸山幸」に1往復追加

JR九州では、観光要素の強い列車群を「D&S列車(デザイン&ストーリー列車)」と称し、一般の特急列車と区別しています。2009年に運行を開始した日南線のD&S列車、特急「海幸山幸」は、3月13日(土)ダイヤ見直し以降は利用が見込まれる日に1往復追加され、2往復体制となります。増発列車は宿泊旅行にも便利な時間帯に設定されており、観光需要の回復を見据えた準備を水面下で進めているようです。

【図表で解説】JR九州 3月13日ダイヤ見直し 特急「海幸山幸」

ちなみに、「海幸山幸」に使用されれているのはキハ125系気動車400番台という形式ですが、正面から見るとJRの車両とは異なる印象を受けます。これは、2005年の台風により廃線となった高千穂鉄道のTR-400形気動車がベースとなっているためです。デザイナー水戸岡鋭治氏の手により内外装とも地元の飫肥(おび)杉をあしらったデザインに改造され、南国宮崎を代表するリゾート列車へと生まれ変わりました。

D&S列車「海幸山幸」として運転するJR九州キハ125系400番台気動車
D&S列車「海幸山幸」として運転するJR九州キハ125系400番台気動車

一方で、指宿枕崎線で毎日3往復運転しているD&S列車、特急「指宿のたまて箱」については、設定が定期列車から臨時列車に変更となります。同列車については、緊急事態宣言の発出等に伴い、1月から2月にかけて一部の日における運休が決まっています。臨時列車化により、需要を勘案しながら運転日を柔軟に設定していくものと思われます。

JR九州では、3月13日(土)ダイヤ見直しにより快速・普通列車においても最終列車の見直しなどを計画しています。こちらについては別の記事で紹介する予定です。