「競争から協調へ」徳島バス・JR四国が共同経営 JRきっぷで並行の高速バスに乗車OK

徳島バス(徳島市)とJR四国は2022年4月1日(金)から、徳島県南部地域において公共交通サービスの共同経営を行います。

牟岐線日和佐駅を発車するJR四国1500形気動車(ブルーレモネード/写真AC)
牟岐線日和佐駅を発車するJR四国1500形気動車(ブルーレモネード/写真AC)

路線バス事業者間で運賃収入の分配や運行回数の調整、協定により制限を設けるなどの行為は、競争を促す観点から独占禁止法において問題とされていました。しかしながら、人口減少など厳しい状況下にある事業者においては、地域住民にとっての基盤サービスの提供を維持していく目的に限り、独禁法の適用を除外する特例法が設けられました。

両社はこの特例に基づいて2022年4月1日(金)から共同経営を行う計画を国土交通省に申請し、2022年3月18日(金)付で認可されました。国交省四国運輸局によると、バス・鉄道事業者が連携して共同経営を行う取り組みは全国で初とのことです。

これまでに、徳島バスは高速バス「室戸・生見・阿南大阪線」の一般道区間である阿南駅〜甲浦間で途中の乗り降りを認め、地域の路線バスとしての運行を始めています。これは、JR四国の2019年3月ダイヤ改正により牟岐線の阿南駅以南で列車が減便となることを機に、利便性低下を防ぐために並行する高速バス路線を活用するべく徳島県の主導で実現したものです。

今回の共同経営は、さらに一歩踏み込んだ運賃面での連携です。2022年4月1日(金)からはJRの乗車券類(きっぷ・定期券など)をお持ちの方が高速バス途中乗降区間の一部を利用できる取り扱いが開始します。対象区間は阿南駅〜浅川駅間で、JRの運賃により列車およびバスのどちらにも乗車できます(対象区間と駅・停留所の路線図は下図を参照)。また、阿南駅などで列車とバスを乗り継ぐ場合はJRの通し運賃が適用されるため、乗り換える際の初乗り運賃が不要となり徳島方面との移動がおトクになります。

【路線図で解説】徳島バス・JR四国 徳島県南部における共同経営の申請が認可

列車・バスという交通モードを問わず地域輸送サービスとして共通利用できる環境が整い、この地域では実質的な運転本数が増加します(阿南駅の時刻表例は上表を参照)。待ち時間の短縮など利便性が向上することにより利用者が増え、双方の経営力の強化へとつながることが期待されています。なお、この共通運賃・通し運賃を実現するにあたって事業者間での運賃差を埋めるため、JR四国はバス利用分の運賃収入のうち、徳島バス正規運賃の半額を徳島バスに支払う取り決めを結んでいます。

徳島バスとJR四国は、事業者が競争ではなく協調し、将来に向けて「公共交通ネットワークの四国モデル」を構築していきたいと話しています。四国運輸局は、サービス条件が異なっていた事業者同士が連携する今回の取り組みは、持続可能な公共交通のあり方を目指す際のモデルケースになるとコメントしています。