JR東海は、名古屋地区で活躍した311系車両について、2025年6月30日(月)をもって営業運転を終了します。
東海道本線に1989年から導入された311系は、同社在来線の通勤車両として初めて最高速度120km/hを実現した車両です。車内には快適性を重視した転換式クロスシートが並び、国鉄時代からの117系車両の後継として、当時の最速達種別である新快速列車へと集中的に投入されました。
新快速の所要時間短縮は、豊橋駅〜名古屋駅〜岐阜駅間で競合の名古屋鉄道(名鉄)に対する大きなアドバンテージとなり、都市間輸送におけるJRの存在感を一気に高める役割を果たしました。後に導入された313系に主役の座を譲るかたちで快速運用は減少し、近年は東海道本線の普通列車としての活躍がメインとなっています。
現在、JR東海は最新型315系車両の増備を進めており、置き換え対象形式の一つである311系は2022年から廃車が始まっています。2025年6月末をもって全編成の営業運転が終了することが決まっており、最後に廃車予定の4両編成2本については5月30日(金)以降順次、感謝を込めたヘッドマークや車内外への装飾が施されます。
引退後の7月12日(土)には、車両解体場所まで回送する311系、通称「廃車回送」に乗車できる特別ツアーがクラブツーリズムにより催行されます。大垣車両区の車両洗浄、浜松駅近隣にある廃車車両の留置場所など、普段は入れない走行コースで「本当に最後の運行」を堪能できる内容です。