秩父鉄道と三岐鉄道は、両社で主に貨物輸送に使用している電気機関車(EL)の塗装を入れ替えて運行します。
両社は国内で数少ない旅客・貨物輸送の両方を行う私鉄で、2000年に秩父鉄道から三岐鉄道へ2両のELを譲渡した実績があります。今回のコラボ塗装企画は、鉄道貨物が500トン以上という大量の貨物を一度に輸送でき、CO2削減に貢献できる輸送モードであることを広く認知してもらう狙いがあります。
秩父鉄道では、叶山(かのうやま)鉱山(群馬県神流町)と三輪鉱山(埼玉県秩父市)で採掘され、ベルトコンベアで運搬された石灰石がそれぞれ武州原谷駅、影森駅で貨車に積み込まれます。石灰石を積んだ貨物列車は武川駅から貨物専用の三ケ尻線に入り、三ケ尻駅で太平洋セメント熊谷工場へ引き渡されます。
一方の三岐鉄道は、東藤原駅にある太平洋セメント藤原工場から粉末セメントを四日市港まで、炭酸カルシウムを碧南火力発電所(愛知県碧南市)まで、三岐線を経由してそれぞれ貨車輸送しています。さらに、発電所で発生する石炭灰を同じ貨車に積み込んで藤原工場まで輸送し、これがセメント改良材として活用されています。
秩父鉄道のEL303号機はすでに茶色ベースに黄色帯の三岐ELカラーで塗装されており、2025年6月中旬から秩父本線と三ケ尻線で運行開始します。三岐鉄道ED454号機は秩父鉄道のEL標準色である青色ベースに白帯へと塗り替えられ、三岐線で7月から運行開始する予定です。コラボ塗装は当面の間続けられますが、ほかの機関車と共通運用を組むため運転時刻の問い合わせには応じられないとのことです。