鉄道界の「カー・オブ・ザ・イヤー」ブルーリボン賞 近鉄の名阪特急「ひのとり」受賞

全国規模の鉄道愛好者団体である鉄道友の会は、2021年の「ブルーリボン賞」(最優秀車両)に近畿日本鉄道(近鉄)の名阪特急「ひのとり」80000系を選びました。

名阪特急「ひのとり」に使用される近鉄80000系電車(ゆー63/写真AC)
名阪特急「ひのとり」に使用される近鉄80000系電車(ゆー63/写真AC)

ブルーリボン賞は、日本の鉄道車両の進歩発展に寄与することを目的に、鉄道友の会が1958年から毎年1回、新造または改造車両から最優秀と認めた車両を選定する賞です。第64回となる2021年ブルーリボン賞は、大阪難波駅〜近鉄名古屋駅間の名阪特急として2020年3月14日に運行を開始した「ひのとり」が受賞することが決定しました。現在は平日15往復、土休日19往復が運行されています。

「ひのとり」は、「くつろぎのアップグレード」をコンセプトに、都市間輸送の新たなスタンダードとして開発された特急車両です。車内の快適性が追求されているのが特徴で、後ろの人を気にせずリクライニングできる「バックシェル付き座席」が日本で初めて全席に採用されました。プレミアム車両には横揺れを軽減させる「電動式フルアクティブサスペンション」が設置され、本皮製3列シートの座席間隔は日本最大級の130cmが確保されています。大型荷物を収納できるロッカー等の荷物置き場が全車両に設置されているほか、全席電源コンセントや無料Wi-Fiの提供、多言語に対応した車内表示機の採用など、インバウンド対応も強化されています。

鉄道友の会は、広くゆったりした快適性、高品質で高機能な移動空間を提供してきた名阪特急において、「ひのとり」はこれらをさらに追求していることを選定理由に上げています。「ビジネス、観光、お出かけなどの多様な利用用途に対応し、車内からの眺望を楽しむこと ができる一方、悠久の歴史を育む沿線の伝統的景観とも調和しており、完成度が極めて高く魅力あふれる車両である」と評価しています。

近鉄のブルーリボン賞受賞は、2014年の観光特急「しまかぜ」以来、7年ぶり9回目となります。そのうち名阪特急車両としては、1960年の「2代目ビスタカー」10100系、1978年の「サニーカー」12400系、1989年の「アーバンライナー」21000系など、過去5回の受賞歴があります。