【特集】「京カード」廃止 一日券値上げ 京都市バス・地下鉄の割引施策が全面見直しへ

2023年に始まるポイントサービスの中身は?

2023年4月1日から、京都市民を中心とした利用頻度が高い方が優遇される新しいポイントサービスが導入されます。市民の利用が多いICカード「ICOCA」「PiTaPa」限定で、市バス・京都バス・地下鉄の利用を対象に、条件を満たした方にポイントが還元される登録型のサービスとなります(詳細は下図を参照)。

インバウンド客などで賑わっていた頃の京都駅前市バスのりば(Katsumi/TOKYO STUDIO)
インバウンド客などで賑わっていた頃の京都駅前市バスのりば(Katsumi/TOKYO STUDIO)

「乗継ポイント」は、現行の京カード、バス・地下鉄連絡普通券および全国相互利用ICカードによる乗継割引に代わるポイント還元システムです。1日2回までに限られますが、バス〜地下鉄間の乗り継ぎに対して120円分、バス〜バス間なら150円分のポイントが還元されます(乗り継ぎ時間はいずれも90分以内)。さらに、将来的にはバス〜バス間の還元額が均一運賃相当の230円分に引き上げられ、バス同士での実質無料乗り継ぎの実現を目指すとしています。

このように、京カードなどと比べておトク感のある乗継ポイント制度ですが、「1か月の利用額が3,600円以上」の方のみ対象という条件が付けられます。交通局によると、乗継利用している方は週1回の往復利用で、乗継利用のない方でも週2回の往復利用で対象となるため、それほど高いハードルではないと説明しています。

また、1か月の利用金額に対してポイントが還元される「利用額ポイント」も開始します。3,000円以上の利用に対し1%、5,000円以上で2%、8,000円以上で3%分のポイントが還元され、高頻度で利用する方により多くのポイントが還元される仕組みになっています。メリハリを付けた割引制度に再構築されるかたちとなりますが、現行の京カードの実質10%割引や、PiTaPa利用額割引の約9%還元(月3,000円以上の利用が対象)と比べると物足りない還元率となることは否めません。

そのほか、事前に指定した日(24時間以内)の利用金額のうち、700円の基準額を超過したバス利用分をポイントで還元する「バスIC24時間チケット」が提供されます。ポイント還元型のバス一日券という発想のサービスで、有効期間に24時間制が導入されることにより、並行して発売される既存の磁気一日券よりも利便性が向上するとしています。なお、登録日のバス利用については、ほかのポイントサービスの対象外となります。

新しいポイントサービスに小児用ICOCA・PiTaPaを登録した場合、還元されるポイントは半額分となります。また、ポイントの有効期間は還元の翌月から1年間となります。

【図表で解説】京都市交通局 新たなポイントサービス 2023年4月1日開始

ポイント還元があるだけまだ救い?

以上のように、交通局は今後約2年かけて割引施策の抜本的見直しを実施します。一日券類の全般で100〜200円の値上げを行う「価格適正化」、ポイントサービスへの集約に伴う実質割引額の抑制により、具体的に公表はされていませんが、交通局の収支は相当改善すると思われます。

京都では近年、インバウンドを含む観光客の増加に伴い、市バスへの乗客集中による車内混雑や遅延が問題となっていました。地下鉄への誘導による「移動経路の分散化」がつい最近までの大きなテーマとなっていましたが、新型コロナウイルスの影響により状況が激変した中、今回発表された見直しの内容は「コスト削減」に集約された感があります。

日常的な利用者への影響が最も大きいのは、回数券並みの割引率で気軽に利用できる磁気カード「トラフィカ京カード」の廃止であると思われます。類似のサービスを全国的に見ると、東京近郊各バス事業者の「バス共通カード」や、西日本鉄道(西鉄バス)の「バスカード」は2010年時点ですでに廃止されています。さらに、それぞれの代替サービスと位置づけられる、IC利用による「バス利用特典サービス(バス特)」が多くの事業者で終了「nimoca乗車ポイントサービス」も西鉄グループが2021年3月をもって離脱するという状況です。

京都に話を戻すと、新たに始まるポイントサービスの「利用額ポイント」は最大還元率3%で、現行に比べるとおトク感がかなり後退します。とは言え、絞り込まれた原資の中で、できるだけ地元のヘビーユーザーに手厚いメリットを配分できるように設計が工夫されています。新型コロナウイルスの影響による利用減少で大きな痛手を受けた公共交通の現状を考えると、利用客への還元サービスが残るだけまだ救いと捉えるのが適切な見方かも知れません。

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