【特集】昼間の本数が約2/3に 京阪9月ダイヤ変更 プレミアムカー連結「快速急行」が鍵

「始発列車の集約」で巧みにコスト削減?

今回のダイヤ変更で興味深いのが、始発列車の時刻変更です。淀屋橋駅発の上り始発列車が現行ダイヤの5:04発から、9月25日(土)ダイヤ変更後は5:33発となります。これは、現在の始発2本目と同じ時刻です。同時に、中之島駅発の上り始発列車が5:12発から5:00発へと12分早まります(時刻表は下表を参照)。

この見直しは、京阪本線の夜間保守作業時間の確保という大義名分もあるかと思いますが、おそらく主目的は、京阪本線の始発列車1本を削減し、中之島線に移行・集約することにあると思われます。

両線は並行しており、京阪本線の淀屋橋駅・北浜駅ののすぐそばに、中之島線の大江橋駅・なにわ橋駅があります。中之島駅の始発時刻を少し早めることで、現在の淀屋橋駅の始発列車と同じ時間に大江橋駅から乗車することができます。北浜駅も同様、代わりになにわ橋駅を利用することができます。Osaka Metro(大阪メトロ)御堂筋線・堺筋線の始発列車は5:15前後なので現在も接続しておらず、乗り換え距離を考慮する必要はありません。

これにより、淀屋橋駅と北浜駅の「開店時間」を大阪メトロとの乗り換えが始まる時間まで遅らせることができます。もちろん、中之島線の利便性も損なわずに済みます。並行路線という特性を活かし、利用がそれほど多くない時間帯は片方のみを動かすという妙案は、コロナ禍で迫られているコスト削減だけでなく、始業時間が適正化されることで働き方改革にも寄与しそうです。

【時刻表で解説】京阪 9月25日(土)ダイヤ変更 早朝時間帯の変更点

石山坂本線三井寺駅に停車中の京阪600形電車(☆Ken☆/写真AC)
石山坂本線三井寺駅に停車中の京阪600形電車(☆Ken☆/写真AC)

大津線は一部区間で昼間の本数半減

9月25日(土)のダイヤ変更では、大津線(京津線・石山坂本線)の始発・最終列車に変更はありません。

石山坂本線では一部列車の運転区間の見直しが実施されます(路線図は下図を参照)。平日・土休日ダイヤとも、昼間時間帯は石山寺駅〜坂本比叡山口駅間が10分間隔で運転されていますが、ダイヤ変更後は全線通し運転の列車と、石山寺駅〜近江神宮前駅間の区間列車が交互に運転されるようになります。これにより、石山寺駅〜近江神宮前駅間は10分間隔が維持されますが、減便される近江神宮前駅〜坂本比叡山口駅間は20分間隔へと広がります。

また、石山坂本線では、沿線の学校が休みとなる春季・夏季・冬季機関の平日において「学休期ダイヤ」が導入されます(最初の実施は2021年冬)。期間中は、7時〜9時台の運転本数が通常ダイヤよりも少なくなります。

京津線については大きな変更は行われず、学休期ダイヤの実施もありません。

【路線図で解説】京阪 9月25日(土)ダイヤ変更 大津線 運転本数変更

京阪電鉄は、変更後のダイヤの詳細については準備ができ次第、公式サイトに公開するとしています。

今回のダイヤ変更は、京阪線で昼間の運転本数が大幅に削減されるなど、利用者にとって痛みを伴う内容となったのは事実です。しかし、振り返ってみると、毎年の年末年始用の特別ダイヤや、緊急事態宣言発令中に実施された土休日臨時ダイヤなど、需要に応じた柔軟なダイヤの作成能力においては、日本の鉄道事業者で京阪の右に出る者はいないと筆者は評しています。

アフターコロナが到来し、鉄道需要が復活した暁には、京阪が時代のニーズに即した魅力あるダイヤを率先して創り出してくれるものと信じています。