JR東海・JR西日本・JR九州は、東海道・山陽・九州新幹線をネット予約できるEXサービス(「エクスプレス予約」「スマートEX」)の価格体系を見直し、2023年秋をめどに主力商品の値上げを実施します。
サービス開始から22年で初の値上げ
2001年(平成13年)にサービスを開始したエクスプレス予約は、年会費(1,100円)がかかりますが、年間を通して同一のおトクな価格を売りとしています。窓口に並ぶことなくいつでもネットで指定席を予約でき、会員専用のICカードを用いてチケットレスで新幹線に乗車できます。
また、2017年(平成29年)開始のスマートEXは、お持ちのクレジットカードと交通系ICカードを登録するとすぐに利用できる、年会費無料のサービスです。価格体系は紙のきっぷとおおむね同等ですが、きっぷの受け取り不要、チケットレス乗車といったメリットをより多くの方が体験できるようになっています。
今回の値上げの理由として3社は、EXサービスの一層の機能拡充を挙げています。
これまでの継続的なサービス向上に加え、新幹線とホテル、旅先での交通手段、観光プランなど旅行全体をシームレスに予約・決済できる「EX-MaaS(仮称)」を2023年秋から導入するとしています。また、乗車日の約1年前からの指定席申し込みに対応することも予定しており、これらの施策に合わせて新たな価格体系へ移行するとのことです。
エクスプレス予約の基本プラン「EX予約サービス」は、“一年中変わらないシンプルな価格”というこれまでの価格の考え方から初めて方向転換します。普通車指定席とグリーン車には、繁忙期や閑散期などシーズン別の料金設定が導入されます。紙のきっぷからの割引額は縮小し、「のぞみ」「みずほ」を利用する際は一般の特急券と同額の加算額が適用されるようになります。
東京駅〜新大阪駅間で「のぞみ」を利用した場合の「EX予約サービス」のおねだんは、現行13,620円に対し、改定後は14,230円となり、610円の値上げです。紙のきっぷの運賃・料金合計14,720円からの割引額は490円へと縮小します。また、東海道・山陽新幹線区間については、閑散期は通常期より200円引き、繁忙期は200円増し、最繁忙期は400円増しのシーズン別料金が適用されます。
その他の区間や往復割引商品、特急券部分のみの「e特急券」についても軒並み値上げされ、一般のきっぷと比べたおトク度という優位性は薄まることになります。なお、自由席利用のおねだんは現在と同額に据え置かれます。
(「EX予約サービス」「スマートEXサービス」の改定前後比較、「EX早特28ワイド」など詳細は下の図表を参照)
新たな“最安”早特商品を投入
スマートEXで利用できる「スマートEXサービス」は、山陽新幹線を含む区間で「のぞみ」「みずほ」を利用する場合の加算額が値上げされます。2023年4月1日(土)にJR西日本が特急料金改定を実施しましたが、このときはネット予約商品を対象外としていたため、今回の改定を機に加算額が紙の特急券と同額に揃えられます。往復割引商品も同様に価格が見直されます。
そのほか、「EX予約サービス」「スマートEXサービス」で東京駅〜品川駅間と京都駅〜西明石駅間の各駅相互間を乗車する場合、鉄道駅バリアフリー料金として10円の加算が適用されます。
基本のネット予約商品を値上げする一方、早めの予約でおトクに利用できる早特商品を拡充します。「のぞみ」指定席を利用できる新商品「EX早特28ワイド」は、乗車日28日前までに予約した場合に適用され、既存の最安商品「EX早特21ワイド」よりも割引額がさらに引き上げられます。
設定区間は東海道新幹線の東京駅・品川駅・新横浜駅〜名古屋駅・京都駅・新大阪駅間で、「エクスプレス予約」「スマートEX」の両方に2023年秋から通年発売商品としてラインナップされます。ただし、年末年始やゴールデンウィーク、お盆など最繁忙期には設定除外日が設けられます。
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