ようやく長野駅でも Suicaエリア23駅拡大へ 大糸線一部にも 長野のバスICカードも刷新

JR東日本は、長野県内において交通系ICカード「Suica」のサービスエリアを2025年春以降に拡大し、篠ノ井線・信越本線・大糸線の23駅でタッチして列車に乗り降りできるよう新たに整備します。

長野エリア各線で普通列車として運行しているJR東日本E127系電車(KUZUHA/写真AC)
長野エリア各線で普通列車として運行しているJR東日本E127系電車(KUZUHA/写真AC)

現在は諏訪・松本地域の15駅のみ

長野県内で現在、Suicaによる乗車サービスを利用できるのは、中央本線・篠ノ井線の信濃境駅〜松本駅間(みどり湖駅経由)に限られます。特急「あずさ」が走り、東京圏と在来線での行き来が多い諏訪・松本地域に展開が偏っており、駅数は15駅にとどまっています。

新たにSuicaが利用できるようになるのは、篠ノ井線・信越本線の田沢駅〜長野駅間と、大糸線の北松本駅〜穂高駅間の各駅です。Suicaのチャージ残額を使って改札機にタッチして乗車できるようになるほか、Suica定期券の取り扱いも開始します。サービス開始日やSuicaを購入できる駅など詳細については、決まり次第告知するとしています。

なお、今回拡大する23駅はSuica「首都圏エリア」の駅として追加されます。同一エリア内であればチャージ残額による乗り降りが可能ですが、新潟・仙台・盛岡・秋田・青森の各Suicaエリアとまたがっての利用はできません。

(長野県内で新たにSuicaが利用できる駅の路線図、バス共通ICカードKURURUのエリアなど詳細は下の図表を参照)

【路線図で解説】長野県内で新たにSuicaが利用できる駅の路線図、バス共通ICカードKURURUのエリア

バスにSuicaベースの「地域連携ICカード」導入

今回のエリア拡大の背景には、JR東日本が「Suicaの共通基盤化」を目指し、地方部で展開を加速している「地域連携ICカード」の存在があります。

JR東日本は2022年9月、長野地域で運行している路線バスなどにSuicaをベースにしたICカードによる乗車サービスを提供することで長野市公共交通活性化・再生協議会と合意しました。長野地域では2012年(平成24年)に独自のバス共通ICカード「KURURU(くるる)」が導入され、現在107路線で利用可能です。これまでに累計約16万4千枚が発行され、2021年度の利用件数は約355万7千件を数えます。

地域連携ICカードのサービス開始は2025年春を予定しており、Suicaの乗車券や電子マネー機能を搭載した新カードに移行することでKURURUは運用終了となります。新カードの対象路線は、長野市、須坂市、飯綱町、高山村、小川村を運行するアルピコ交通、長電バス(本社:長野市)や公営の一般路線バス・乗合タクシー(一部路線を除く)で、おおむね現行のKURURUと同じ範囲が想定されています。

KURURUで提供されてきた地域独自の定期券や割引サービスは、地域連携ICカードへの移行後も利用できる予定です。また、全国相互利用に対応した交通系ICカードでこの地域のバスを利用できるようになり、観光客の利便性も向上します。

この発表の後、バスだけでなく、長野地域の鉄道路線でもICカードを利用できるようにしてほしいとの市民の要望が多くあったようです。初期投資や維持管理の費用面の理由で慎重な姿勢をとっていたJR東日本に対し、長野県はICエリア拡大の希望をを伝え続けてきました。バスと鉄道に同時期に導入することにより、公共交通全体の利便性を向上し、利用促進の効果が高まることが期待されます。

また、県内には長野電鉄、しなの鉄道、上田電鉄、アルピコ交通(上高地線)の4つの地域鉄道事業者がありますが、いずれも交通系ICカードに対応していません。県は各社と導入意向やコスト面の課題などについて意見交換を重ね、今後の県としての対応を検討していきたいと話しています。

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