10月から軒並み値上げ インバウンド向け鉄道パス 「のぞみ・みずほ利用券」価格も発表

JRグループは、日本を観光目的で訪れるインバウンド旅行者を対象にした「ジャパン・レール・パス」などの鉄道パスについて、2023年10月1日(日)から価格改定や商品内容の拡充を実施します。

東北・北海道新幹線で運行しているJR東日本E5系(Harusz/写真AC)
東北・北海道新幹線で運行しているJR東日本E5系(Harusz/写真AC)

「ジャパン・レール・パス」は88%の値上げ

JR6社の全国の路線が乗り放題となる「ジャパン・レール・パス」の値上げについては2023年4月に告知されていましたが、価格改定のタイミングが決まりました。専用販売サイト「JAPAN RAIL PASS Reservation」は、日本時間で10月1日(日)4:00から新価格となります。また、海外にあるJR指定販売店や代理店で引換証を購入する場合、その場所の現地時間を基準として価格が切り替わります。

最も安価な有効期間7日間の「普通車用」の場合、従来は海外店舗で29,650円、専用サイトでは33,610円で販売されていましたが、改定後は価格が統一されいずれも50,000円となります(価格は大人用、以下同じ)。「グリーン車用」も含めた全券種では、海外購入の場合を基準にして現行より平均で約88%の大幅な値上げとなります。

JRグループは、新幹線延伸による周遊エリアの拡大、オンライン発売・予約機能の導入など、これまで行ってきたサービスアップを価格改定の理由に上げています。さらに、これまで認められていなかった新幹線「のぞみ」などに乗車できる制度を新たに設けます。また、日本国内の主な観光施設と提携してパス保持者に割引などのサービスを用意し、価格に見合った商品であることを訴求します。

価格改定日の10月1日(日)から新たに発売される特別企画乗車券は「【ジャパン・レール・パス専用】のぞみ・みずほ利用券」で、全国のJRの主な駅や旅行会社で通年発売されます。乗車日に有効なパスを持っている場合、乗車したい区間の利用券を別に購入することで東海道・山陽新幹線「のぞみ」または山陽・九州新幹線「みずほ」に乗車できます。

利用券のおねだんは区間によって異なり、「東京駅・品川駅〜新大阪駅間」の場合はお一人4,960円です。「グリーン車用」「普通車指定席用」「普通車自由席用」の3種類がありますが、いずれも価格は同一です。販売対象となるグリーン車と指定席の座席数には限りがあります。また、お持ちのパスが「普通車用」の場合、「グリーン車用」の利用券を利用することはできません。

なお、ジャパン・レール・パスは日本国内の一部窓口で試験販売が行われていましたが、価格改定前の9月30日(土)をもって終了し、専用サイトでの販売に統一されます。また、日本国籍を有し、海外に10年以上在留している方にパスの利用資格を付与する取り扱いは2年延長され、2025年12月末までは海外の指定販売店・代理店で引換証を購入することができます。

(「ジャパン・レール・パス」など鉄道パスの新旧価格比較、「のぞみ・みずほ利用券」など詳細は下の図表を参照)

【図表で解説】「ジャパン・レール・パス」など鉄道パスの新旧価格比較、「のぞみ・みずほ利用券」

北陸エリアの周遊パスは据え置き…なぜ?

JR各社はインバウンド旅行者のニーズに合わせ、エリアごとにさまざまな外国人専用の鉄道パスを発売しています。その大半の商品についても、ジャパン・レール・パスと歩調を合わせて10月1日(日)に価格改定されます。

例えば、JR東日本の首都圏エリア各線が3日間乗り放題の「JR TOKYO Wide Pass」は、現行価格の10,180円に対し、新価格は15,000円となります。JR九州全線がフリーエリアとなる「JR Kyushu Rail Pass (All Kyushu)」の7日間用は、20,000円から25,000円に値上げされます。また、JR西日本は、外国人向け商品のほとんどについて駅窓口での発売を終了し、ネット予約への移行を促します。

価格改定と同時に利便性が向上する商品もあります。JR西日本の「関西ワイドエリアパス」などの一部商品は、これまで6回までとしてきた指定席の交付回数制限を廃止し、何度でも指定席を利用できるようにします。また、JR東海とJR西日本が共同で発売する「高山・北陸エリア周遊きっぷ」「伊勢・熊野・和歌山エリア周遊きっぷ」は、指定席の交付回数制限が4回から6回までに拡大します。

JR北海道は、自由席タイプの「札幌・登別エリアパス」「札幌・富良野エリアパス」の価格改定に合わせ、特急列車や快速列車の普通車指定席を利用できるよう効力を見直します。また、インバウンド旅行者の長期滞在ニーズが高まっているとし、道内乗り放題の「北海道レールパス」の10日間用を新たに設定し、従来の5日・7日間用のラインナップに加えます。

なお、「北陸アーチパス」「関西・北陸エリアパス」など、北陸エリアでの周遊をメインにした商品については今回は改定が見送られます。JR東日本とJR西日本は、2024年春に北陸新幹線が敦賀駅まで延伸開業するのに合わせてこれらの商品の見直しを行う予定です。

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