京浜急行電鉄(京急)は、羽田空港第1・第2ターミナル駅で列車の入れ替えを行う「引上線」の新設工事を国土交通省と協働で着手しました。
1時間12本→15本に増強
現在、同駅は島式ホーム1面に接した2線の線路上で乗降扱いと折り返しを同時に行っています。計画によると、駅終端から第2ターミナル側へ地下トンネルが約330m延伸され、折り返し用の専用線が設けられます。入れ替え列車の収容量が拡大することにより、1時間あたりの本数は現在から3本増え、片道15本の運行が可能になります。
国は国際競争力の強化を主眼として、首都圏の基幹空港である羽田空港の機能強化を進めています。国際線の発着容量引き上げなど航空機能の拡充に加え、空港アクセス鉄道の基盤整備によるアクセス利便性の向上にも取り組み始めました。今回の引上線整備もその一環とされ、関東地方整備局と東京航空局が京急と相互に協力して事業を進めます。鉄道基盤施設は関東地方整備局が整備主体となり、トンネル本体と付帯する通路や階段の建設が行われます。軌道やホームなどの鉄道施設は京急が整備を担当します(引上線のイメージなど詳細は下の図表を参照)。
品川駅でも大プロジェクト
引上線整備にあたり、京急駅改札と第2旅客ターミナルを結ぶ連絡通路の一部を撤去する必要が生じます。これに伴う歩行者動線の確保のため、仮切り回し通路の整備が最初に進められます。通路切り替えは2025年度頃に実施される予定で、工事期間中は仮設のエスカレーターおよび階段を利用することになります。
京急は2022年度以降の鉄道事業設備投資計画において、品川駅付近で連続立体交差事業と駅大規模改修を同時に進めることを発表しています。現在の品川駅はホーム2面・線路3線の高架駅ですが、2029年度までに2面4線の地平駅へと大きく生まれ変わる予定です。品川駅の改善と合わせて空港駅の引上線を整備し、羽田空港アクセスの輸送力増強と利便性向上を図ることで将来の空港旅客増加に対応していくとのことです。