2023年8月の開業を目指して整備が進められているLRT(次世代路面電車)の新規路線「芳賀・宇都宮LRT」は、工事が完了した一部区間で初めての試運転が間もなく開始します。
宇都宮駅〜平石間の工事が完了
「ライトライン」の愛称でLRTが導入されるのは、栃木県宇都宮市の「宇都宮駅東口」と芳賀町の「芳賀・高見沢工業団地」の両停留場を結ぶ14.6kmの区間です。宇都宮市と芳賀町が施設の整備と保有を行い、運営は第三セクターの宇都宮ライトレール(本社:宇都宮市)が担う「公設型上下分離方式」の事業です。
道路改良や軌道などの工事は、2022年末までに全区間での完了が予定されていました。しかしながら、自動車交通量の多い大規模な「野高谷町交差点」(宇都宮市)付近では、渋滞を極力発生させないよう道路規制が当初計画より抑制されており、この付近の工事完了は2023年3月へと見通しが修正されました。併せて、コンクリート製品などの製造に時間を要し、軌道や停留所の工事が滞っている芳賀町区間でもスケジュールが精査され、こちらも完了見通しが2023年3月へと延期されています。
これらの工期変更を踏まえ、全線の開業時期は目標の2023年3月から5か月先送りとなり、2023年8月となる見込みとなることが発表されています。
車両が問題なく走行できるかを確認する「試運転」や、旅客対応の運転を支障なく行えるよう反復訓練する「習熟運転」は、区間ごとの工事完了に合わせて段階的に行われます。第一段階として、2022年10月末までに工事が完了した宇都宮駅東口〜平石間の本線上で11月17日(木)から試運転が開始します。市は、バリケードを設置するなど安全面に配慮しながら実施するとしており、LRT走行時の自動車や歩行者の交通ルールについても周知を図ります。なお、全区間での試運転は2023年1月から実施される見込みです(芳賀・宇都宮LRTの路線図、壁面デザインのイメージなど詳細は下の図表を参照)。
停留所デザインも決定
また、11月26日(土)・27日(日)の2日間、宇都宮駅東口停留場でライトライン車両を特別展示する「出張ライトライン見学会」が開催されます。停留場と一体化した再開発が行われている駅東口のまちびらきイベントに合わせたもので、申込不要で誰でも無料で車内見学を楽しめます。ただし、混雑状況によっては整理券の配布や入場制限が行われる場合もあるとのことです。
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LRTの停留場には、その地域の特色を表現した写真やイラストを施した壁面が設置されることになっており、開業に向けて全19停留場のデザインが公開されました。停留場の個性化の役割を担うデザインシートは、沿線6地区で実施された地域の方々とのワークショップを通じ、デザインの専門家団体の協力のもとで作成されたものです。現在、市と町では地元の法人・団体からの寄付を1枠25万円で募集しており、スポンサーに選定された寄付者名は停留場のデザインシート内に掲出されます。
LRTが運行するJR宇都宮駅から東側のエリアでは、全線開業に合わせてバスなどの路線網も大きく変わります。LRTと運行ルートが重複するバス路線は駅への乗り入れを改め、「トランジットセンター(TC)」を起終点としたLRTと接続する路線へと再編されます。また、タクシー車両などを用いた地域内交通も、最寄りのTCやLRT停留場に立ち寄るルートへと変更され、公共交通ネットワーク全体の充実が図られます。