JR東日本は、きっぷを使わずに乗車できる新しい手段として、「QRコード」を利用した乗車サービスを2024年度下期以降、東北エリアから全線へと順次拡大していきます。
新幹線も在来線も一つのQRで
同社グループの経営ビジョンで掲げた「シームレスでストレスフリーな移動」の目標を実現するサービスで、ポストコロナ社会における非接触ニーズや、持続可能な社会を目指すSDGsの観点も取り入れているとのことです。同社のチケットレス化は交通系ICカード「Suica」を軸に進められてきました。新サービスはSuicaを持っていない方や、Suica利用エリア外で乗降する方も対象となり、駅の券売機や窓口を経由せずに乗車できる機会が増加します。
サービス開始に合わせ、インターネット予約サービス「えきねっと」で乗車券類を手配する際、利用方法として「QR乗車」を選べるようになります。チケット購入後、えきねっとのスマートフォンアプリでQRコードを表示し、自動改札機に設置されるQRリーダーにかざすことで乗り降りできます。乗換改札も一つのQRコードで通過できるので、目的地まで新幹線、在来線を問わずシームレスに利用できます。自動改札機が設置されていない駅では、利用者自身がアプリで利用開始・終了の操作を行う方法が検討されています。
例えば、えきねっとで「上盛岡駅〜東京都区内」の乗車券と「盛岡駅〜東京駅」の特急券を購入した場合、一つのQRチケットに乗車券・特急券の情報が集約されます。自動改札機のない山田線の上盛岡駅では、アプリ操作により利用開始を行います。盛岡駅〜東京駅間は新幹線「はやぶさ」号にそのまま乗車することができ、盛岡駅と東京駅の乗換改札もQRで通過することができます。東京駅から中央線に乗車し、新宿駅で下車してQRを自動改札機にかざせば利用終了となります(QRコードによる乗車サービスの利用イメージなど詳細は下の図表を参照)。
Suicaによるチケットレス化も拡大
今回のサービス導入に合わせ、QRチケット情報を管理する「センターサーバ」が新たに設置され、えきねっとで購入された予約情報との情報連携が行われます。改札機は読み取ったQRチケットの情報をセンターサーバに照会し、乗車券・特急券の効力が有効かどうかをサーバ側で判定します。
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QRによる乗車サービスはまず、2024年度下期に東北エリアに導入される予定です。その後、段階的にエリアを拡大し、最終的にはJR東日本管内の新幹線・在来線全線(BRT区間を除く)に導入されます。現在、各駅に設置されている自動改札機は2022年12月から老朽取替が始まり、代々木駅を皮切りに、一部の通路にQRリーダーが搭載された新型の改札機が設置されます。なお、新型改札機が設置されても、サービス開始日まではQRサービスを利用することはできません。
JR東日本は、今回のQRによる新たな乗車サービスは「より多くの方にチケットレスで鉄道をご利用いただける手段の一つとして」導入すると説明しています。現在、Suica首都圏エリアでの交通系ICカードの利用率は約95%となっており、今後もSuica利用エリアの拡大や、地域連携ICカードの新規導入などによるチケットレス化を並行して進めていくとしています。