JRグループ6社が発表した2023年度ゴールデンウィーク(GW)期間の利用状況によると、各社とも前年に比べて大きく輸送量が増加し、線区によっては新型コロナウイルス感染症の影響を受ける前の水準にまで回復しています。
“日本の大動脈”がいち早くコロナ禍脱却
今年のGWは土日祝日が連続5日間、最大で9連休の取得も可能なカレンダーで、一部を除いて全国的に好天に恵まれました。2023年5月5日(金)に石川県能登地方で発生した地震の影響により北陸新幹線に遅延が生じたほか、災害などによる大規模な運休はなく、運行状況はおおむね順調でした。
4月28日(金)〜5月7日(日)の計10日間を対象とした全国の新幹線や在来線特急列車の利用実績は、おおむね前年を3〜4割程度上回りました。コロナ禍以降で移動が最も活発なGWとなり、マスク着用が自主判断となるなど各種制限が緩和され、アフターコロナへの動きが加速したことが数字に現れています。
JR東海によると、東海道新幹線の利用ピーク日は下りが5月3日(水・祝)、上りが5月7日(日)で、それぞれ約27万人の利用がありました。GW期間中では上下計で356万7千人の利用があり、前年比で126%、年間を通してコロナによる影響がない2018年と比べても101%と、コロナ前を上回る好調な結果となりました。
全国的に見ると、コロナ前との比較では8〜9割程度の回復にとどまっている線区がほとんどです。いち早くコロナ禍から脱却できた東海道新幹線では近年、需要に応じて運転本数を最大限確保できる「のぞみ12本ダイヤ」など、大量輸送のための集中投資が続けられており、これが功を奏した格好です(JR各社の主要新幹線・特急列車等のGW輸送実績、前年・2018年との比較一覧など詳細は下の図表を参照)。
初めてのGW迎えた西九州新幹線は?
2022年3月16日に発生した福島県沖地震の影響が残った昨年のGWは、東北新幹線を中心に、徐行運転を伴う臨時ダイヤによる運行が行われていました。この反動もあり、東北・北海道・山形・秋田の各新幹線はGWに昨年の1.4〜1.8倍もの利用がありましたが、コロナ前の水準にはまだ達していません。
西九州新幹線の武雄温泉駅〜長崎駅間は2022年9月23日に開業し、最初のGWを迎えました。5月3日(水・祝)の下り「かもめ17号」が乗車率146%を記録したのを筆頭に、期間中に計8万4千人の利用がありました。コロナ前の在来線特急「かもめ」と比較して102%の利用者数で、幸先の良いスタートを切っています。
各空港での水際対策がGW前に解除され、海外旅行者やインバウンド観光客が増加したことを背景に、空港アクセス路線もようやく息を吹き返しています。昨年との比較で、成田国際空港と首都圏を結ぶJR東日本の特急「成田エクスプレス」は約5倍、関西国際空港と大阪・京都を結ぶJR西日本の特急「はるか」は実に約12倍の利用者がありました。
近場のお出かけも堅調で、特にJR西日本の京阪神地区ではGW1日あたり約147万人の利用がありました。これは前年比114%、コロナ前の2018年比でも109%という高い伸び率となっています。2023年3月18日(土)に大阪駅「うめきたエリア」地下ホームが開業したほか、奈良線の複線化区間拡大など、輸送体系を拡充したことが需要の掘り起こしにつながっているようです。
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