賑わい戻る? 新・青森駅ビルに健康テーマのホテル 「ラビナ」とつなぐ商業施設もOPEN

地域と連携して青森駅周辺の賑わい復活に取り組んでいるJR東日本は、健康増進をテーマにしたホテルや新たな商業施設を核とする「JR青森駅東口ビル」を2024年春から段階的に開業します。

2024年春から順次開業する「JR青森駅東口ビル」の外観イメージ(画像提供:JR東日本)
2024年春から順次開業する「JR青森駅東口ビル」の外観イメージ(画像提供:JR東日本)

中心市街地の空洞化にストップ!

1891年(明治24年)に開業した青森駅は、本州と北海道をつなぐ玄関口としての役割を長く担い、青森市の経済を率いる中心市街地を形成してきました。青函連絡船は1988年(昭和63年)に廃止され、2010年(平成22年)には東北新幹線が新青森駅まで延伸開業、さらに2016年(平成28年)に北海道新幹線の新青森駅〜新函館北斗駅間が開業するなど、交通拠点としての環境は大きく変化しています。

並行して、高度成長期以降のクルマ社会の進展に伴い都市生活の郊外化が進み、中心市街地の空洞化が顕著となっていました。JR東日本は青森県・市、青森商工会議所とまちづくりに関する四者協定「AOMORI CONNECTION」を2018年(平成30年)に締結し、青森駅周辺のイベントを連携して行うなど、駅前エリアの魅力向上のための取り組みを続けています。

駅自体の改良も始まっています。駅を挟んで分断されていた東西の行き来を容易にするための自由通路が青森市により新築され、西口には駅前広場も整備されました。この自由通路の完成後、旧青森駅東口駅舎の跡地を活用してJR東日本が開発を進めてきたのがJR青森駅東口ビルで、青森市の新たな顔となる地上10階建ての駅ビル工事が佳境を迎えています。

1〜3階部分には商業施設「&LOVINA(アンドラビナ)」が2024年春に開業します。青森駅コンコースや自由通路と既存の商業施設「LOVINA(ラビナ)」が新ビルを介してつながることになり、その役目が名称の「&」に表現されています。ファッションやグッズ、ドラッグストアなどの店舗のほか、街のダイニングとしてのカフェやレストランもオープンする予定です。

(「JR青森駅東口ビル」に入居する施設、青森駅周辺地図、まちづくり施設の整備状況など詳細は下の図表を参照)

【図表で解説】「JR青森駅東口ビル」に入居する施設、青森駅周辺地図、まちづくり施設の整備状況

ヨガや温泉、食事で元気になるホテル?

4階と6〜10階は、JR東日本グループの施設として初となる、ウエルネスをテーマにしたホテル「ReLabo(リラボ)」が2024年夏に開業します。運営するのは、青森市で総合病院や福祉事業などを運営する一般社団法人慈恵会(青森市)と、青森県内でホテルや飲食店を展開する城ヶ倉観光(本社:青森市)です。名称は、元に戻す概念の「Re」と、研究所などの意味を持つ「Labo」を組み合わせた造語です。

130室設けられる客室は、ツーリストやビジネス向けに加え、ウエルネスタイプや禅タイプなどから選ぶことができます。各種検査と医師や保健師によるカウンセリング、ヨガや温泉、メディケーションスパ、食事を組み合わせたウエルネスプログラムが用意されるのが最大の特徴です。医療の担い手がウエルネスホテルという先駆的な施設の展開に乗り出し、人口減少地域の地方創生に挑みます。

新ビル4階には2つの行政施設も2024年春に開設されます。市は、市民自らの作品展や展覧会などを開く場としての「青森市民美術展示館」を市街地から移設します。また、県内にある世界遺産「北海道・北東北の縄文遺跡群」の価値や魅力を知ってもらうための情報発信拠点も県により整備されます。

ビルの東面外壁には、旧駅舎を思い起こすひらがなで「あおもり駅」と書かれた駅名サインも設置されるとのことです。ウエルネスを前面に打ち出す駅ビルが観光客や生活者の新たな目的地となり、駅周辺の観光施設などと連携して賑わいを創り出せるかどうか注目されます。

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