武雄温泉〜長崎間は「西九州新幹線」に決定 在来線との対面乗換方式で2022年秋開業

JR九州は、2022年秋頃の開業を予定している九州新幹線(武雄温泉駅〜長崎駅間)の路線名称を「西九州新幹線」に決定しました。

大村湾を望む嬉野温泉駅〜新大村駅間の西九州新幹線高架橋(パッキー/写真AC)
大村湾を望む嬉野温泉駅〜新大村駅間の西九州新幹線高架橋(パッキー/写真AC)

整備計画において「九州新幹線(西九州ルート)」と呼ばれてきた同区間ですが、開業まで1年あまりとなり、単独の名称が与えられました。九州の西部に位置する佐賀県・長崎県域は「西九州」と呼ばれることが多いことから、これを冠した路線名称にすることで、地元の方に愛され、親しみを持ってもらいたいとの思いで決定したとのことです。また、新幹線の名称とすることにより西九州を全国的にPRし、地域全体の発展に寄与したいという思いも込められていると説明しています。

建設が進められている武雄温泉駅〜長崎駅間の全長は約66kmで、全体の61%がトンネルとなります(路線図は下図を参照)。2008年、在来線と同じ線路幅(狭軌)の「スーパー特急方式」で暫定的に整備する区間として武雄温泉駅〜諫早駅間が認可され、工事が着手されました。2012年には武雄温泉駅〜長崎駅間で、他の新幹線と同じ線路幅(標準軌)による「フル規格新幹線」の計画が認可され、10年後の完成を目指して工事が続けられてきました。

当初は狭軌と標準軌を直通できる「フリーゲージトレイン」の走行が計画されていましたが、技術的問題がクリアできないことから、導入は断念されました。そのため、在来線との接続駅となる武雄温泉駅では、同一ホーム上で在来線特急と新幹線の乗り換えができる対面乗り換えが採用されます。九州新幹線が新八代駅〜鹿児島中央駅間で部分開業した2004年3月から全線開業する2011年3月までの7年間、新八代駅で実施されていた方式と同じです。

佐賀県嬉野市には、新幹線単独駅の嬉野温泉駅が設置されます。大村線諏訪駅〜竹松駅間には新幹線と接続する新大村駅が設けられるほか、長崎本線・大村線・島原鉄道線が集まる交通の要所、諫早駅にも停車します。終点の長崎駅は、長崎本線連続立体交差事業により2020年3月28日に高架化され、新幹線の乗り入れに向けて準備が進められています。

【路線図で解説】武雄温泉〜長崎間の名称 「西九州新幹線」に決定

未着工区間の博多駅〜武雄温泉駅間は、速達性を考慮して全線フル規格での整備を求める長崎県と、高額な費用負担などをめぐって反対の姿勢をとっている佐賀県との意見の食い違いもあり、現在もなおルートが決まっていません。